■オイラー・マクローリンの和公式とトッド作用素(その2)
シリーズ「素数がもたらしたもの」では,オイラー・マクローリンの和公式を用いて,Σ(1,∞)k^mlogkから発散するnのべき乗項を引いた残りを定数と考えて計算した.
偶数次元では
−ζ’(−s)
奇数次元では
定数−ζ’(−s)
の形となった.
この定数について,大阪の花本先生より興味深い結果を教えていただい.
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【1】グレイシャー(Glaisher)の定数の一般化について
Σ(1,∞)k^mlogkから発散するnのべき乗項を引いた残りを定数と考えて,一般化Glaysher数をAm,ベルヌーイ数をBn,調和関数Hn=1+1/2+1/3+・・・+1/nとすれば,
Am=B(m+1)Hm/(m+1)-ζ’(-m)
が成り立つというものです.
たとえば,
[1]m=1のとき
Σklogk〜(n^2/2+n/2+1/12)・logn-n^2/4+C
C=1/4-1/720+1/5040-1/10080+・・・
となりましたが,
B2=1/6,H1=1,m+1=2
ですから,
C=1/12−ζ’(−1)=A1
[2]m=3のとき
Σk^3logk〜(n^4/4+n^3/2+n^2/4-1/120)・logn-n^4/16+n^2/12+C
C=1/16-1/12+1/120-1/5040+1/33600-・・・
となりましたが,
B4=−1/30,H3=1+1/2+1/3=11/6,m+1=4
定数Cは
C=−11/720−ζ’(−3)=A3
[3]m=2nのとき
ベルヌーイ数の奇数項は第一項以外は0ですから,
Am=−ζ’(−m)
で与えられるというものです.
(文献)Polygamma Functions of negative order
Victor S.Adamchic 1998
JOURNAL OF COMPUTATIONAL AND APPLIED MATHEMATICS
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