■スターリングの公式の図形的証明?(その58)

 そのシリーズの初期のころ,空間充填2^n+2n面体のスターリング近似の計算において,

  r^2n=1/(n−j)

としてしまったが,幾何学的な意味を考えると,

  r^2n=1/j

とするのが正当であったかもしれない.(その39)をやり直してみたい.

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【1】超立方体の球体近似

 球の体積

  π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n

とn次元立方体[−1,1]^nの体積

  2^n

を等しいとおいて半径を求めるが,ここでは偶数次元の場合(n=2k)だけを扱うことにする.

  2^n=2^2k

  π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n=π^k/k!・r^2k

したがって,

  r^2k≒k!・(4/π)^k

  r^2≒(k!)^1/k・(4/π)=((n/2)!)^2/n・(4/π)

となるような球がbest fitすることになる.

 j次元面の中点までの距離は

  rj^2=n−j

 そこで,best fitする球(r^2=n−j)を考えると,n→∞のとき,j/nあるいは(n−j)/n=1−j/nの収束を調べるという問題になる.

  ((n/2)!)^-2/nπ/4=1/(n−j)

  ((n/2)!)^-2(π/4)^n=(n−j)^-n

  (π/4)^n=(n−j)^-n{(n/2)!}^2

 スターリングの公式を使って

  (n/2)!→√(πn)(n/2)^n/2exp(−n/2)

とするのは正しくない.相対誤差は0に近づくが絶対誤差は無限大に発散するからである.そこで,

  (π/4)^n=(n−j)^-n{(n/2)!}^2

の両辺を

  {√(πn)(n/2)^n/2exp(−n/2)}^2=πn(n/2)^nexp(−n)

で割ってから,極限をとってみよう.

 すると

  左辺=(πe/2n)^n/πn

  右辺=(n−j)^-n

となるから,さらに両辺にn^nをかけてから極限をとると

  左辺=(πe/2)^n/πn

  右辺=exp(j)

  j→nlog(πe/2)−log(πn)→nlog(πe/2)

  (n−j)/n→1−log(πe/2)

となり収束する.

  j〜nlog(πe/2)

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【2】正軸体の球体近似

 正軸体は4次元を除き空間充填多面体にならないが,球の体積

  π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n

と1辺の長さ√2のn次元正軸体の体積

  2^n/n!

を等しいとおいて半径を求めてみる.

 偶数次元の場合(n=2k)だけを扱うことにするが,

  2^n/n!=2^2k/(2k)!

  π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n=π^k/k!・r^2k

したがって,

  r^2k≒(k!/(2k)!)・(4/π)^k

  r^2≒(k!/(2k)!)^1/k・(4/π)=((n/2)!/n!)^2/n・(4/π)

となるような球がbest fitすることになる.

 1辺の長さ√2の正軸体の内接球と外接球の半径は,それぞれ

  √1/n,√1/1

j次元面の中点までの距離は

  rj^2=1/(j+1)

 そこで,best fitする球(r^2=1/(j+1))を考えると,n→∞のとき,j/nあるいは(n−j)/n=1−j/nの収束を調べるという問題になる.

  ((n/2)!/n!)^-2/nπ/4=(j+1)

  ((n/2)!/n!)^-2(π/4)^n=(j+1)^n

  (π/4)^n=(j+1)^n{(n/2)!/n!}^2

 ここで,

  (π/4)^n=(j+1)^n{(n/2)!/n!}^2

の両辺を

  {√(πn)(n/2)^n/2exp(−n/2)}^2=πn(n/2)^nexp(−n)

で割って

  {√(2πn)(n)^nexp(−n)}^2=2πn(n)^2nexp(−2n)

を掛けてから,すなわち,

  2(2n/e)^n

を掛けてから,極限をとってみよう.

 すると

  左辺=2(πn/2e)^n

  右辺=(j+1)^n

となるから,

  j+1〜πn/2e

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【2】正単体の球体近似

 球の体積

  π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n

と辺の長さ√2のn次元正単体の体積

  (n+1)^1/2/n!

を等しいとおいて半径を求めてみる.

 偶数次元の場合(n=2k)だけを扱うことにするが,

  (n+1)^1/2/n!=(2k+1)^1/2/(2k)!

  π^(n/2)/Γ(n/2+1)・r^n=π^k/k!・r^2k

したがって,

  r^2k≒(k!/(2k)!)・(2k+1)^1/2/π^k

  r^2≒(k!/(2k)!)^1/k・(2k+1)^1/2k/π=((n/2)!/n!)^2/n・(n+1)^1/n/π

となるような球がbest fitすることになる.

 辺の長さ√2の正単体のj次元面までの距離rjは

  {(j+1)(1/(j+1)−1/(n+1))^2+(n−j)(1/(n+1))^2}^1/2

={(n−j)/(j+1)(n+1)}^1/2

  rj^2={(n−j)/(j+1)(n+1)}

  ((n/2)!/n!)^2/n・(n+1)^1/n/π={(n−j)/(j+1)(n+1)}

  ((n/2)!/n!)^2・(n+1)/(π)^n={(n−j)/(j+1)(n+1)}^n

 ここで,両辺を

  {√(πn)(n/2)^n/2exp(−n/2)}^2=πn(n/2)^nexp(−n)

で割って

  {√(2πn)(n)^nexp(−n)}^2=2πn(n)^2nexp(−2n)

を掛けてから,すなわち,

  2(2e/n)^n

を掛ける.すると

  左辺=(n+1)/π^n

  右辺=2(2e/n)^n{(n−j)/(j+1)(n+1)}^n

となるから,

  (n−j)/(j+1)(n+1)〜nπ/2e{(n+1)/2}^1/n

  (n−j)=(j+1)n^2π/2e

  (n^2π/2e+1)j=(n^2π/2e−1)

となって,j=1に収束する.

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[雑感]計算力が鈍っていること,時間を細切れにしか使えないことから,ある程度しかたないにせよ,あまりにも間違い多し.まだ間違いはあると思われるが,少しはましになったようである.

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