■多面体はDNAをもっている(その10)

 まだ,自然な距離を定義できていない

 DNAはそれぞれの場所で4つの塩基(A・C・G・T)をもっている.ここでは10個の塩基配列で考えられるすべての集合(アンサンブル)を考える.その位数は4^10である.このDNA空間は自然な距離をもつ計量空間になっている.

 たとえば,

  AAAAAAAAAA

と3つの点突然変異

  AAAAACAAAA

  AAAAACTAAA

  AAGAACTAAA

を考えると,AAAAAAAAAAから最も遠いのはAAGAACTAAAである.

 2つの配列の間の距離は点突然変異の数,すなわち,ひとつの配列から別の配列へ到達するの必要な点突然変異数は

  AAAAACAAAA・・・「1」

  AAAAACTAAA・・・「2」

  AAGAACTAAA・・・「3」

である.

 10次元の多面体での位数は2^10−1である.正軸体の場合,1000000000から最も遠いのは0000000001であるが,正単体の場合,両者は一致するので,一般的に自然な距離構造を定義できるかどうかはわからない.

  1111111111

  1111101111・・・「1」

  1111100111・・・「2」

  1101100111・・・「3」

を考えると,1111111111から最も遠いのは1101100111であるとは言い切れない.

 1000000000から最も遠いのは0000000001であるが,この規則を適用すると

  0000000001・・・「2」

となってしまうのである.

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