■正三角形の縮小三角形(その11)
重心座標を用いないで,ベクトルで解く場合,縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は
(その9)・・・・(λ−1)/√(λ^2+λ+1)
(その10)・・・(λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)
であることを示すのが結構大変である.
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【1】問題
三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点D,E,Fとし,AD,BE,CFの2本ずつの交点が作る三角形PQRを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにする.正三角形の縮小三角形は正三角形である.
λ=CD/DB=AE/EC=SF/FA
[Q]正三角形の縮小三角形は正三角形である.AD,BE,CFの2本ずつの交点が作るP,Q,Rの内分比を1:κとすると
κ=EP/PB=λ^2/(1+λ)
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【2】証明
相似比を使って解ける.
BE^2=1^2+1/(1+λ)^2−2・1・1/(1+λ)cos60°=1−1/(1+λ)+1/(1+λ)^2
△BCMと△BPDは相似であるから,
BP=1/(1+λ)/BE
QE=1/(1+λ)^2/BE
PQ=BE−1/(1+λ)/BE−1/(1+λ)^2/BE
EP=BE−1/(1+λ)/BE
EP/PB=(1+λ)BE^2−1=λ^2/(1+λ)
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【3】発展
正三角形の縮小三角形は正三角形であるから簡単に解けたが,一般の三角形の場合の定理を使ってみたい.
一般に与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν−1)^2/(λμ+λ+1)(μν+μ+1)(νλ+ν+1)
倍に等しくなる.
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3−1)^2/(λ^2+λ+1)^3=(λ−1)^3/(λ^3−1)
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/7.
すなわち,もとの正三角形の1辺の長さを1とすると,縮小三角形の1辺の長さPQは
(λ−1)/√(λ^2+λ+1)
というわけである.
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【4】さらなる発展
与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって点同士を結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
倍に等しくなる.
(証)1/(λ+1)・μ/(μ+1)+1/(μ+1)・ν/(ν+1)+1/(ν+1)・λ/(λ+1)=1−(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3+1)/(λ+1)^3
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/3.λ=μ=ν=−2のとき7.
すなわち,もとの正三角形の1辺の長さを1とすると,縮小三角形の1辺の長さは
√(λ^2−λ+1)/(λ+1)
というわけである.
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