■正三角形の縮小三角形(その9)
(その7)の計算を続行する.
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LM=(λ^2a+λb+c)/(1+λ+λ^2)
MN=(λ^2b+λc+a)/(1+λ+λ^2)
NL=(λ^2c+λa+b)/(1+λ+λ^2)
a+b+c=0より,
LM=((λ^2−1)a+(λ−1)b)/(1+λ+λ^2)
LM=((λ+1)a+b)(λ−1)/(1+λ+λ^2)
MN=−((λ−1)a−(λ^2−λ)b)/(1+λ+λ^2)
MN=−(a−λb)(λ−1)/(1+λ+λ^2)
NL=−((λ^2−λ)a+(λ^2−1)b)/(1+λ+λ^2)
NL=−(λa+(λ+1)b)(λ−1)/(1+λ+λ^2)
したがって, 縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は
(λ−1)/√(λ^2+λ+1)
である.したがって,LM^2,MN^2,NL^2は
a^2,b^2,c^2/(λ^2+λ+1)
のいずれかに等しくなる.すなわち,
(a^2,b^2,c^2)(λ^2+λ+1)
のいずれかに等しくなる.
この形で方程式を作るが,同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると
c^2=a^2+2a・b+b^2,2a・b=c^2−a^2−b^2
より
(λ+1)^2a^2+b^2+2(λ+1)a・b=c^2(λ^2+λ+1)
λ(λ+1)a^2−λb^2+(λ+1)c^2=c^2(λ^2+λ+1)
a^2+λ^2b^2−2λa・b=a^2(λ^2+λ+1)
(λ+1)a^2+λ(λ+1)b^2−λc^2=a^2(λ^2+λ+1)
λ^2a^2+(λ+1)^2b^2+2λ(λ+1)a・b=b^2(λ^2+λ+1)
−λa^2+(λ+1)b^2+λ(λ+1)c^2=b^2(λ^2+λ+1)
→−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0
(λ+1)a^2−b^2−λc^2=0
−λa^2+(λ+1)b^2−c^2=0
3式を加えると,両辺とも同じ(a^2+b^2+c^2)(λ^2+λ+1)になるので,この3式は独立ではなく,a=b=cを得る.
右辺を巡回置換してもいずれも同様に計算してa=b=cに達する.すなわち自明な正三角形の場合以外にはあり得ない.
裏返しに相似なとき,上述のLM^2,MN^2,NL^2の式はそのままにして,第2式,第3式の右辺のb^2,c^2を入れ換える.
第1式→−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0
第2式は右辺がc^2(λ^2+λ+1)であるから,整理すると
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
となるが,これは第1式と同値である.
第3式は右辺がb^2(λ^2+λ+1)であるから,整理すると
−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0
となって,これも第1式と同値である.
すなわち,この場合には相似条件式が同一の条件
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
になる.もちろんa=b=cはこれを満足するが,それ以外にも多数の解がある.そしてそれが必要十分条件であり,実際に縮小三角形がもとの三角形と裏返しに相似になる.
例:λ=2のとき,a=1,b=2,c=√3(正三角形の半分)
同様にa,b,cを巡回置換すれば
−(λ+1)a^2+b^2+λc^2=0
λa^2−(λ+1)b^2+λc^2=0
という場合が生ずるが,これは単にa,b,cの順序を変えた(三角形を回した)ものにすぎない.
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【雑感】重心座標を用いないで,ベクトルで解く場合,縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は
(λ−1)/√(λ^2+λ+1)
であることを示すのが結構大変である.
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