■かみあわない話(その10)

 お見合いではそんなに悪くないという相手に出会っても,もう少し粘れば次はもっといい人にであえるかもしれないとついつい期待してしまうのが人情であろう.お見合いにおける決断で有効な戦略(最適停止の理論)は以下のようなものである.

 全部で20人と次々にお見合していくとする.最初の7人までは絶対に結婚しない.それ以降は相手がそれまでの1位だったら結婚する.しかしながら,全部で20人と次々にお見合するほどチャンスは多くはない.高々10人までと設定すると,最初の3人までは絶対に結婚しない.それ以降は相手がそれまでの1位だったら結婚するという戦略である.

 このとき,最高のパートナーに出会える確率は約1/3になることが保証される.3人に一人は最高のパートナーを得ることになるのである.

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 職場で最適停止の理論について話したところ,諸嬢より異論・反論がでた.それらをまとめると

[1]全体の37%(7人)を黙って見送るのは,その中に最高のパートナーが含まれている可能性がある.その場合,逃した魚が大きすぎる.

[2]必ずしも次の相手が前の相手よりもいいとは限らない.残りが少なくなるほど,スカを引く確率が高くなる.やっぱりあの人で手を打っておけばよかったと思っても,後の祭りである.

[3]結局,見合いは3回までで,一人目は黙って見送る.二人目が一人目よりよかったらその人を選ぶ.そうでなかったら三人目と黙って結婚するという戦略が現実的.

というものであった.

 全部で20人と次々にお見合していくとする.一度に20人と面接するのなら,その中のナンバー1を選べばよいが,しかし,会うのは一人ずつである.しかもその会い方は20!=243京通りと天文学的な数字になる.

 20人中のナンバー1と結婚したいという条件を緩めて,せめてベスト3の相手を選びたいというのであれば,次のような戦略がある.

[1]最初の5人までは絶対に結婚しない.

[2]6人目から10人目の相手がそれまでの1位なら結婚する.

[3]11人目から13人目の相手がそれまでの1位か2位なら結婚する.

[4]14人目から15人目の相手がそれまでの3位以内なら結婚する.

[5]16人目がそれまでの4位以内なら結婚する.

[6]17人目がそれまでの5位以内なら結婚する.

[7]18人目がそれまでの7位以内なら結婚する.

[8]19人目がそれまでの10位以内なら結婚する.

[9]20人目とはシブシブでも結婚する.

 女の直観=見合いは3回までで,一人目は黙って見送る.二人目が一人目よりよかったらその人を選ぶ.そうでなかったら三人目と黙って結婚するという戦略は極めて現実的なものである.結局,数学なんかに頼らないで,自分の直観で勝負する,それでうまく行かなかったら潔く諦めるのが女の生き方なのである.

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