■円周率の古代史(その3)

 今から2000年以上も前の紀元前3世紀,アルキメデスはπの攻略法を初めて考案した人物ですが,まず,円に内接・外接する2つの正六角形を描きました.これだけでπの値は

  3<π<2√3=3.46

が得られます.

 さらに彼は円に内接・外接する正96角形による計算から3・10/71<π<3・1/7,あるいは小数で表すと3.14084<π<3.142858よりπ=3.14という近似値を求めています.

 正96角形に引き続いて,円の正多角形近似,すなわち,192,384,768,・・・など弧の2等分を繰り返すことによって辺の数を増してπの値が計算されました.ルドルフは正2^42角形の周を計算して円周率を35桁計算するために一生を費やしました.しかし,円の正多角形近似によって得られるπでは大幅な精度の向上は期待でず,17世紀まで注目すべき進歩はみられませんでした.ということで,第3期(無限級数,無限積,無限連分数の登場)となります.

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 もし中学生ならば,どれだけπの値を計算できるだろうか? 円の半径を1とするとこの円に内接する正六角形の周囲の長さは6なので,

  3<π

が得られる.

 円に外接する正六角形の周囲の長さは,1:√3:2(30°,60°,90°)の直角三角形に対して,ピタゴラスの定理を使って求めることができる.

  π<2√3=3.46

 アルキメデスは正多角形の辺数を2倍に増やす方法を知っていたので,

  6→12→24→48→96

最終的に正96角形を使って,πの近似値を求めた.

  3・10/71<π<3・1/7

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 半径1の円に正十二角形を内接させると,その周長は

  24sin15°

となる.

  sin15°=(√6−√2)/4

したがって,

  π>3(√6−√2)=3.10583

を得ることができる.

 半径1の円に正十二角形を外接させると,その周長は

  24tan15°

となるが,中学生でも

  tan15°=1/(√6+√2)=2−√3

を求めることができる.

  π<12(2−√3)=3.21539

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 半径1の円に正24角形を内接させると,その周長は

  48sin7.5°

となるが,1:2+√3:√6+√2(15°,75°,90°)の直角三角形の長さ2+√3の辺を斜辺の長さ√6+√2だけ延長させた1:2+√3+√6+√2:x(7,5°,82.5°,90°)の直角三角形に対して,ピタゴラスの定理を利用して

  1^2+(2+√3+√6+√2)^2=x^2

  sin7.5°=(2+√3+√6+√2)/x

を求めることができる.

 計算はかなり面倒になるが,

  6→12→24→48→96

と辛抱強く繰り返せばよいわけである.

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