■折り紙の三等分(その4)

 3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形は代表的かつ最小のピタゴラス三角形ですから,ピタゴラス三角形の大家族の元祖という意味で,エジプト三角形と呼ばれることがあります.ピタゴラス三角形のなかでも最も歴史的に由緒正しく最も象徴的な直角三角形なのです.面白いことに3:4:5の直角三角形は正方形の中にもみることができます.

 (その1)では,

[定理]折り紙のひとつの角が辺の中点に来るように折る.このときできる3つの直角三角形はいずれもエジプト三角形(3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形)である(芳賀和夫の定理).

について証明しましたが,それを再掲し,さらにもうひとつのエジプト三角形についても調べてみます.

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【1】証明

 1辺の長さが8の正方形の頂点を

  A(−4,8)

  B(−4,0)

  C(4,0)

  D(4,8)

にとる.

 点Cが辺ADの中点M(0,8)に来るように折ると,折り線の方程式はCMと直交するから,y切片をbとすると

  y=x/2+b

 この直線から点C,Mまでの距離が等しいことから

  |−2−b|=|8−b|→ b=3

  直線y=x/2+3と直線x=4との交点は(4,3)

  直線y=x/2+3と直線x=−4との交点は(−4,1)

 このときできる3つの直角三角形はいずれも相似であることから,

  3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形

  3辺の長さ比が4:16/3:20/3の直角三角形

  3辺の長さ比が1:4/3:5/3の直角三角形

となり,いずれもエジプト三角形であることが証明される.

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【2】もうひとつのエジプト三角形

 1辺の長さが8の正方形の頂点を

  A(−4,8)

  B(−4,0)

  C(4,0)

  D(4,8)

にとる.

 辺ADの中点M(0,8)と点B,中点Mと点Cを結ぶ.次に点BからCMに垂線を下ろし,垂線の足を点Fとする.このとき,三角形BMFはエジプト三角形になる.

(証)CMの方程式はy=−2x+8

   BFの方程式はy=1/2・x+2

→点F(12/5,16/5)はCMを2:3に内分する.

 三角形BMFは直角三角形で,

 BM=20√5/5,BF=16√5/5,MF=12√5/5

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