■トーラスもどき上の円(その6)

 手嶋 吉法先生(千葉工業大学 工学部 機械サイエンス学科)より,話題沸騰の3Dプリンタ模型に関するメールを頂いたので紹介したい.

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 1870年頃に始まったドイツの幾何学模型製作プロジェクトにおいてもボヘミアンドームの全体模型は造られています。様々な切り口で切った切断模型の実体化は、手嶋らが初だと思っています。

数学曲面の実体模型を製作する手順

(1)数学ソフトに数式を入力し、3次元形状データを生成し、可視化。

(2)3次元形状データを積層造形用データ(STLデータ:立体形状を微小三角形の集合で近似)

に変換。

(3)積層造形マシン(3Dプリンタ)のソフトで積層造形用データを多数のスライスデータに変

換。

(4)3Dプリンタでスライスデータに基づいて造形し、積み上げて行く。

 手嶋の経験上、特異点を含む数学曲面は、パソコン内で可視化出来ていても、3Dプリンタですんなり造形できないことがあります。

 以前、泉屋周一先生(ご専門は特異点)から伺ったお話では、特異点を有する数学曲面の中には、造形どころか可視化すら困難な場合があるとのことです。

 私の手元にあるボヘミアンドームやトーラスの模型は、そのような困難を対症療法的に回避して造りました。これを系統的なやり方で回避できるかどうかはわかりませんが、現代のものづくりにとって、挑戦しがいのある課題だと思っています。

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