■この門くぐるべからず(その21)
正五角形に対角線を描き入れると星形五角形(ソロモンの星)ができる.正五角形と星形五角形の入れ子はペンタグラムと呼ばれ,ピタゴラス派のシンボルマークであったことはよく知られている.ピタゴラス派の校門には「幾何学を知らずしてこの門をくくるべからず」といった意味のことが記されてあったそうである.
黄金比は正五角形と密接な関係にある.正五角形に対角線を書き入れると星形五角形できるが,この手順を繰り返すと,正五角形と星形五角形が少しずつ縮小しながら無限に入れ子状になった図形を作ることができる.
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この図はK5と呼ばれる完全グラフでもある.グラフ理論を知っている人にとって,K5とK3,3を含むグラフはどうやっても平面グラフにはならない(クラトウスキーの定理)ことは常識てきなことである.
しかし,この図形が4次元正単体の2次元投影図であることを知っている人は少ないだろう.一般に,n次元正単体は(n+1)個の点からなる完全グラフKn+1とみなすことができるので,k次元胞の数は(n+1,k+1)なのである.
そこで格言,「この五角形が4次元正単体に見えぬ者は高次元幾何学の門をくぐるなかれ」
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