■初等物理の問題(その5)
正多角形の対称性から,正多角形の重心は外接円の中心に等しい.これまで長さの平方の合計,長さの合計を扱ってきたが,座標そのものを用いるのではなく,ベクトルを用いることで計算を簡単にすることができた.
p1+p2+・・・+pv=0
また,この議論は物理的に解釈することもできて,平方和
Q=(p1−p1)・(p1−p1)+(p2−p1)・(p2−p1)+・・・+(pv−p1)・(pv−p1)
はp1のまわりの慣性モーメントである.それをシュタイナーの平行軸定理(Steiner's parallel-axis theorem)を使って回転点を重心に移すことができる.
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【1】シュタイナーの平行軸定理
多面体の頂点ベクトルをp1,・・・,pv,重心ベクトルを
c=(p1+・・・+pv)/v
任意の点をzとすると
Σ|pk−z|^2=Σ|pk−c|^2+v|c−z|^2
が成り立つ.
もっと一般的には,各頂点に重みwkを設けて,
W=Σwk,Σwkpk=Wc
とおくと
Σwk|pk−z|^2=Σwk|pk−c|^2+W|c−z|^2
が成り立つ.
wk=1のときが
Σ|pk−z|^2=Σ|pk−c|^2+v|c−z|^2
である.
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【2】パップスの定理
△ABCの辺BC(長さa)上に中点D(AD=d)がある.
BD=a/2,DC=a/2
このとき,
b^2+c^2=a^2/2+2d^2
となる.
[補]この定理は中線定理,アポロニウスの定理とも呼ばれている.
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【3】スチュアートの定理(1730年代)
△ABCの辺BC(長さa)上に点D(AD=d)がある.
BD=m,DC=n,a=m+n
このとき,
b^2m+c^2n=a(d^2+mn)
となる.
スチュワートの定理はパップスの定理の拡張(m=n=1の場合)となっている.シュタイナーの平行軸定理は質点系の重心の関する定理であるが,スチュアートの定理そのものでもある.
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