■組み合わせ・重複組み合わせの母関数(その3)
【1】多重比較とシェフェ数
3群以上で多重比較を行うとき,次の場合を区別しておく必要があります.
(1)あらかじめ決めておいた特定の1対に限定して比較する(フィッシャー法)
(2)対照群と他群を対にして比較する(ダネット法)
(3)2群を対にして,すべての対について比較する(チューキー法)
(4)2群の比較ばかりでなく,任意の群を合併したものを含め,すべての対比を行う(シェフェ法)
たとえば,5群の平均値μ1,μ2,μ3,μ4,μ5の比較を考える場合,μ3-μ4のような1対1の対比(対比較)のみならず,(μ1+μ2+μ3)/3-(μ4+μ5)/2のような3対2の対比が必要になることもあります.すなわち,多重比較には対比較と線形比較の2種類の方法があり,対比較にはフィッシャー法(特定の比較),ダネット法(基準との比較),チューキー法(あらゆる対の比較)などがあり,線形比較のための検定法として,シェフェ法(あらゆる比較)があります.
すべての対比というと(μ1+3μ3+μ5)-(0.5μ2+4.5μ4)のような意味付け不明のものまで無限に含まれるので,ここでは実際面からいって意味のある対比に絞ってその組み合わせをすべて数えあげてみます.g群の多重比較の場合,対比する組合せ数を求めると,フィッシャー法で1,ダネット法でg−1,チューキー法で,nC2=g(g-1)/2,シェフェ法では(3^g+1)/2-2^g 通りになります.チューキー数は多項式関数的に増加しますが,シェフェ数は意味付け可能な組合せだけでも,指数関数的に増加することが理解されます.
多重比較 3群 4群 5群 6群 g群
フィッシャー数 1 1 1 1 1
ダネット数 2 3 4 5 g-1
チューキー数 3 6 10 15 g(g-1)/2
シェフェ数 6 25 90 301 (3^g+2^(g+1)+1)/2
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【2】第2種スターリング数
シェフェ数はn個の数字を3つのグループA,B,Cに分ける方法の総数で,ただし,A,Bは少なくとも1つの数字を含むものとしたものですが,ここでは,n個の数字を3つのグループA,B,Cに分ける方法の総数で,ただし,各グループA,B,Cは少なくとも1つの数字を含むものとします.
もっと一般に,1≦k≦nとし,n個の数字をk個のグループに分ける方法の総数で,ただし,各グループは少なくとも1つの数字を含むものの数をnSkとします.
nSkは第2種スターリング数と呼ばれるもので,漸化式
n+1Sk=nSk-1+knSk
が成り立ちます.
nS1=1を出発点として
nS2=2^n-1−1
nS3=3^n-1/2−2^n-1+1/2
nS4=4^n-1/6−3^n-1/2+2^n-2−1/6
一般項は
nSk=1/k!Σ(−1)^k-jkCjj^n
となります.
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