■素数の問題(その3)
【1】10を原始根とする素数
aは−1でも平方数でもないものとします.aが素数pに対する原始根とは,a^1−1,a^2−1,・・・,a^p-2−1のどれもpで割り切れなくて,a^p-1−1がpで割り切れるものを指します.
たとえば,a=10はp=3の原始根ではなくて,p=7の原始根です.あるいは同じことですが,
1/7=0.142857142857・・・
(循環節:142857の長さ6)
1/17=0.0588235294117647・・・
(循環節:0588235294117647の長さ16)
のように,1/pを10進法で小数展開したときの循環節の長さがp−1となる特別な素数を10を原始根とする素数といいます.
10を原始根とする素数,たとえば,
7,17,19,23,29,47,59,61,97,・・・
の密度について,アルティンは
π10(x)〜Cx/(logx)
と予想しています.
ただし,pを素数として,Cは
C=Π(1−1/p(p−1))=0.37395・・・(アルティンの定数)
10を原始根とする100以下の素数は
7,17,19,23,29,47,59,61,97
の9個,100以下の素数は25個ですから,
9/25=0.36
で理論値0.374によくあっています.
もし,これが正しいとすれば,このような素数は無限にあり,素数全体のうち約3/8を占めることになるのですが,残念ながら証明されていません.
しかしながら,リーマン予想:ζ(s)の零点がs=−2,−4,・・・,−2nとs=1/2+tiの線上にある:が正しいと仮定するとアルティン予想の成り立つことが証明できることがわかっています.
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【2】レプユニット型素数
1が連続する数を1の反復数(レプユニット)という.10進法表記で1がn個並ぶn桁のレプユニットは
Rn=(10^n−1)/9
の形に書くことができる.1以外の数,たとえば7がn個並ぶ数は7で割れるから素数ではない.1の場合だけが明らかではないのだ.
1=1
11=11(素数)
111=3・37
1111=11・101
11111=41・271
111111=3・7・11・13・37
1111111=239・4649
11111111=11・73・101・137
111111111=3・3・37・333667
1111111111=11・41・271・9091
11111111111=21649・513239
n=2:11(素数)
n=3:3・37
n=6:3・7・11・13・37
n=9:3・3・37・333667
n=18:3・3・7・11・13・19・37・52579・333667
それでは,
(Q)3桁以上のレプユニットはすべて素数ではないのだろうか?
(A)No.
Rnが素数ならば,nは素数でなければならないのであるが,nが素数の場合,たとえば,n=2(11)は素数である.n=13は53・79・265374653であるが,n=17は2071723と5363222357の2つの素因数しかもっていないがこれを探すだけでも大変なことである.n=29の場合は,3191・16763・43037・62003・77843839397となる.
n=2,19,23,317,1031の場合,Rnは素数であることが知られている.素数と思われるが証明されていないレプユニット型素数はn=49081と86453であるが,いまのところ,これ以外のレプユニット型素数は知られておらず,レプユニット型素数が無限個あるのかどうかは未解決である.
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