■ワイソフ計量空間(その21)

 これまでのシリーズの補遺である.

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【1】ワイソフ構成

 3次元正多面体の基本単体を外接球面上に投影すると,合同な三角形(シュワルツの三角形)を描きます.

  正4面体(自己双対)      → 球面24面体

  正6面体(正8面体と双対)   → 球面48面体

  正12面体(正20面体と双対) → 球面120面体

 この球面多面体上に1点をとり,すべての稜に関して鏡映すると,それぞれの正多面体群の回転対称性と鏡映対称性をもつ多面体の頂点が得られます.このような構成法をワイソフ構成と呼びます.

 基準点の取り方は単位三角形の内部にあるか,3辺のうちどの上にあるか,3頂点のうちどの上にあるかの7種類あります.7種類の位置に応じてですが,たとえば単位三角形の内部にある場合は[111]で与えられます.切頂8面体は正4面体系の[111]です(V=24,E=36,F=14)

 4次元正多胞体で得られる単位4面体については,内部にあるか,4面のうちどの上にあるか,6辺のうちどの上にあるか,4頂点のうちどの上にあるかの15種類あり,15種類のいずれかに決めればすべての頂点の位置を決定することができます.切頂八面体(466)×10と正六角柱(644)×20からなる4次元空間充填図形

  V=120,E=240,F=150,C=30

  1つの頂点の周りに集まる胞数は(466)×2,(644)×2

は正5胞体系の[1111]ということになります.

 同様に,n次元正多胞体で得られる単位n+1胞体については,2^n−1種類の構成要素ののどこにあるかを決めればすべての頂点の位置を決定することができます.

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【2】ねじれ準正多面体の構成(その1)

 準正多面体の中で,最も例外的なものは2つのねじれ図形(ねじれ立方体とねじれ十二面体)である.ねじれ立方体は立方体を枠組みとして,正方形面が立方体の面上にあるようにして生成することができる.ねじれ十二体は正十二面体を枠組みとして,正五角形が正十二面体の面上にあるようにして生成することができる.

[補]この方程式は整数係数の3次方程式に帰着される.ゆえに,ねじれ準正多面体は定規とコンパスで作図可能ではない.

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【2】ねじれ準正多面体の構成(その2)

 三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点D,E,Fとし,AD,BE,CFの2本ずつの交点が作る三角形PQRを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにする.正三角形の縮小三角形は正三角形である.

[1]正二十面体(3,3,3,3,3)は,正四面体の縮小三角形(λ=1.618,黄金比)から生成される(ねじれ角:22.238°).

[2]ねじれ立方体(3,3,3,3,4)は,正八四面体の縮小三角形(λ=1.839)から生成される(ねじれ角:20.315°).

[3]ねじれ十二面体(3,3,3,3,5)は,正二十面体の縮小三角形(λ=1.943)から生成される(ねじれ角:19.517°).

 それそれ(3,3,3,3,q)とすると,λは

  λ^3−λ^2−λ−1−2cos(2π/q)=0

の根として計算できる.

[1]q=3 → λ^2−λ−1=0

[2]q=4 → λ^3−λ^2−λ−1=0

[3]q=5 → λ^3−λ^2−λ−φ=0

 ねじれ角は

  tanθ=√3/(1+2λ)

で与えられる.

[補]AD,BE,CFの2本ずつの交点が作るP,Q,Rの内分比を1:κとすると

  κ=λ^2/(1+λ)

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