■アレクサンダーの角付き球面

 ジョルダンの閉曲線定理は,単純閉曲線が平面を内部と外部の2領域に分けることを主張するものである.一方,シェーンフリースは単純閉曲線の内部と外部はそれぞれ円周の内部と外部に同相であることを証明した(1908年).

 3次元空間の中では閉じた向きのあるどんな表面も,g個のハンドルをもった表面と同相である.向きのあるとは内と外がはっきりと定義されたものである.したがって,

  v−e+f=2−2g

が成り立つ. 

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【1】アレクサンダーの角付き球面

 アレクサンダーの角付き球面は非常に複雑な表面であるが,それは球面と同相である.まさしく真っ当な球面なのである.このことは,平面におけるジョルダンの閉曲線定理の空間への一般化が成り立つと考えることができる.

 ところが,1924年,アレクサンダーは角付き球面の内部は球体の内部と同相であるが,外部は球体と外部と同相でないことを証明した.このことはシェーンフリースの定理の空間版が成り立たないことを意味している.

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【2】多面体的球面の場合

 1960年,ブラウンはシェーンフリースの定理の多面体版を証明した.この定理は高次元でも成り立つ.

 しかしながら,高次元では多面体的球面の場合であっても予想外なことが起こることが知られている.

  [参]フックス,タバチニコフ「ヒルベルトの忘れられた問題」岩波書店

を参照されたい.

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