■書ききれなかった数の話(その47)
[参]柴田正和「数列・関数列の無限級数」森北出版
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【3】条件収束する級数(続き)
(1−1)+(1/2−1/2)+(1/3−1/3)+(1/4−1/4)+・・・=0ですが,項の順序を並べ替えてできる次の級数の和は?
[Q1](1+1/2−1)+(1/3+1/4−1/2)+(1/5+1/6−1/3)+・・・
[Q2](1+1/2+1/3−1)+(1/4+1/5+1/6−1/2)+(1/7+1/8+1/9−1/3)+・・・
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[A1]
Σ(1/(2k−1)+1/2k−1/k)
=Σ(1/(2k−1)−1/2k)
=1/1−1/2+1/3−1/4+・・・=log2
[A2]logγ=lim{Σ1/k−logn}
lim{(1+1/2+1/3+・・・+1/3k)−(1+1/2+1/3+・・・+1/k)}
=lim{(log3k+logγ+o(1/k))−(logk+logγ+o(1/k))}
=log3
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[補]オイラーの定数
Hn =1/1+1/2+1/3+1/4+・・・+1/n
と定義します.(n>1ならばHn は整数にはなりません.)
nを無限大にしたとき,調和級数
H∞= 1/1+1/2+1/3+1/4+・・・
は発散しますが,そのn次部分和Hnは離散的な世界で連続関数lnnに対応するものであり,自然対数は双曲線y=1/xの下の面積として定義できます.
したがって,双曲線y=1/xを上と下から棒グラフではさんで近似することにより,lognとlogn+1の間に押し込まれまれることがわかります(∵∫1/xdx=logx).
したがって,Hn とlognの比{Hn /logn}は
Hn /logn→1 (n→∞)
です.
一方,Hn とlognの差{Hn −logn}は確定した極限値γに収束します.
Hn −logn→γ (n→∞:Hn =logn+γ+O(1/n))
(n→∞:Hn =logn+γ+o(1))
この極限値はオイラーの定数として知られており,約0.57722になります.オイラーの定数の比較的よい近似値は4/7で,さらによい近似値は41/71で与えられます.
Hn は上限と下限の間の約58%のところにあることがわかりましたが,今日に至るまで,オイラーの定数の値は有理数とも無理数ともわかっていません.おそらく,超越数なのでしょう.
また,オイラーの定数γを極限値lim(Σ1/k−lnn)を直接計算するのは収束が遅くて非効率的です.そこで,
log(1+x)=x−x^2/2+x^3/3−x^4/4+・・・
log(1+1/x)=1/x−1/(2x^2)+1/(3x^3)−1/(4x^4)+・・・
より
logΓ(1+s)=−γs+ζ(2)/2s^2−ζ(3)/3s^3+・・・
これを用いると
γ=ζ(2)/2−ζ(3)/3+ζ(4)/4−ζ(5)/5+・・・
あるいは
γ=1−1/2(ζ(2)−1)−1/3(ζ(3)−1)−1/4(ζ(4)−1)−・・・
などと書けることになります.これらの無限級数はかなり速く収束します.
なお、素数の逆数の和Σ(1/p)については
lim{Σ(1/p)−loglogn}→0.26149・・・
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