■n次元の立方体と直角三角錐(その352)

 n次元正単体,正軸体,蝶立方体のk次元胞の数を表す公式は古くから知られており,Coxeter, Regular Polytopesにも表がついています.

[1]n次元正単体は(n+1)個の点からなる完全グラフとみなすことができ,k次元胞の数は(n+1,k+1)です.

[2]n次元正軸体については,母関数が

  Σfkx^k={(1+2x)^n−1}/x

という形になります.すなわち,fk=2^(k+1)(n,k+1)です.

[3]n次元超立方体はこの双対で,母関数が

  Σfkx^k=(2+x)^n

という形になります.すなわち,fk=2^(n-k)(n,k)です.

  Σ(n+1,k+1)=2^n+1−2=2(2^n−1)

となるわけですが,(n+1,k+1)の任意の項を加えて,2n,2^nあるいは2^n+2nに等しくすることはできるでしょうか?

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[1]n+1=pのとき,n+1Cmはpの倍数である

 両端n+1C0=n+1Cn+1=1ですから,両端以外のn+1Cm(1≦m≦n)について考えます.n+1=pのとき

  pCm=p!/m!(p−m)!

1≦m≦p−1,1≦p−m≦p−1より,分母は素因数pを含んでいない.よって,pCmはpの倍数である.

[2]n+1=2^kのとき,n+1Cmは偶数である

  (a+b)^2=a^2+{係数が偶数の項}+b^2

  {(a+b)^2}^2=a^4+{係数が偶数の項}+b^4

  {(a+b)^4}^2=a^8+{係数が偶数の項}+b^8,・・・

数学的帰納法より,n+1Cmは偶数である

[3]n+1=2^k−1のとき,n+1Cmは奇数である

 [2]より,n+2Cmは偶数である.

  n+2Cm=n+1Cm-1+n+1Cm

  1+n+1C1=偶数→n+1C1は奇数

  n+1C1+n+1C2=偶数→n+1C2は奇数,・・・

よって,n+1Cmは奇数である.

 さらに,n+1Cmがすべては奇数になるのは,n+1=2^k−1のときに限る.実際,他の行には偶数があるのですが,

[4]n+1=2^kのとき,両端以外のn+1Cm,2^k−1個はすべて偶数である

[5]n+1=2^k+1のとき,真ん中のn+1Cm,2^k−2個はすべて偶数である

[6]n+1=2^k+2のとき,真ん中のn+1Cm,2^k−3個はすべて偶数である

・・・・・・・・・・・・・・・

[7]n+1=2^k+1−2=2^k+2^k−2のとき,真ん中のn+1Cm,2^k−(2^k−1)=1個はすべて偶数である

[8]n+1Cmがすべては奇数になるのは,n+1=2^k−1のときだけ

ということになります.

 さらに,n+1Cm(m=0〜n+1)がすべては奇数になるのは,n+1=2^k−1のときに限る.さらに,k>1に対してn+1Cm(m=1〜n)がkで割り切れるための必要十分条件は,kが素数であって,n+1=k^mの形に書けるときに限る.

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