■離散から連続へ(その3)
【1】クロソイド
(その2)に掲げた調和散歩の問題の螺線はコルニュの螺線(クロソイド)を想起させる.
等速で走行しながら一定の速度でハンドルを切ると,車の奇跡はクロソイド曲線を描く.高速道路において直線区間と円弧区間の境目では急激なハンドル操作は車を不安定な状態に陥らせる.そのため,直線区間と円弧区間を緩和曲線と呼ばれる曲率が緩やかに変化する曲線でつながれるのである.
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【2】フレネル積分
クロソイド曲線は
x(s)=∫(0,s)cos(θ^2/2)dθ
y(s)=∫(0,s)sin(θ^2/2)dθ
で与えられるが,これはフレネル積分の特別な場合である.
∫(0,∞)sin√x/xdx=?
において,y=√xとおくと,dx=2ydyより
∫(0,∞)siny/y^2・2ydy=2∫(0,∞)siny/ydy=π
となる.しからば
∫(0,∞)sinx/√xdx=?
というのがここでの問題である.
y=√xとおくと
∫(0,∞)sinx/√xdx=∫(0,∞)siny^2/y・2ydy=2∫(0,∞)siny^2dy
はフレネル積分の特殊値となり,x→∞の極限は
∫(0,∞)sinx/√xdx=√(π/2)
になる.
結論を先にいってしまったが,披積分関数をべき級数に展開したのち,項別に積分すると,次の展開式が得られるという.
(∫(0,∞)sinx/√xdx)^2=Σ(2k)!/2^2k(k!)^2・1/(2k+1)
=Π4k^2/(4k^2-1)=π/2
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【3】フレネル積分の物理的諸性質
フレネルが光の回折の研究に用いた積分は,今日,フレネル積分として知られている.電波の通路に山岳その他の障害物があっても,電波は回折現象によって陰の部分にも到着する.障害物の陰であっても弱い電波が到達することや逆に障害物があるために自由空間よりも強い電波の到達地点が存在するのである.
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