■書ききれなかった数の話(その27)

 (その22)の問題

  0<(e^π−π^e)<1

を示すことができるだろうか?

 (その26)では

  x^y−y^x=1  (0<y<x)

の整数解が(x,y)=(3,2)だけであることがわかったが,今回のコラムでは

  x^y−y^x=0  (0<x<y)

の有理数解を求めてみよう.

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 x^y=y^xの両辺を1/x乗して,さらにxで割ると

  x^y/x-1=y/x

 ここで,y/x=t(>1なる有理数)とおくと

  x=t^1/(t-1)

が有理数となるtをすべて決定する問題に帰着される.そこで,互いに素な正の整数p,qを用いて,

  t=p/q,p>q

  (p/q)^q/(p-q)

は有理数となる正の整数p,qをすねて決定する問題になる.

  r=p−q(≧1)

とおけば,r=p−qとqも互いに素であるから,

  p=q+r=m^r,q=n^r,m>n≧1,m≧2

でなければならない.

  r=m^r−n^r=(m−n)(m^r-1+・・・+n^r-1)

ここで,r≧2と仮定するとm^r-1+・・・+n^r-1≧r+1となり,矛盾.したがって,

  r=1,p=q+1,t=p/q=1+1/q

より,

  x=(1+1/q)^q,y=(1+1/q)^q+1

が得られる.

 ここで,xはqについて単調増加,yは単調減少であるから,

  2≦x<e<y≦4

 (x,y)はともに整数となるのは(x,y)=(2,4)のみであることがわかる.

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[まとめ]

 (その26)(その27)より

[1](x,y)=(e,e),したがって,e^e=15.1542・・・の周囲にx^y−y^x=0となる有理数解が集積する

[2]x=2〜3,y=3〜4にはy^x−x^y=1となる有理数解が分布する

と推定される.

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