■かみあわない話(その2)
小生Sと同僚のU嬢との対話である.今度は噛み合っただろうか?
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S:南へ500歩,東に500歩,北に500歩歩いたら,元の場所に戻ってしまいました.そのとき,クマに出会いました.さて,クマの色は?
U:シロ.
S:なかなかしゃれた問題だろ? 実はロシアの物理問題集に載っている有名な問題なのだ.
U:どこが?
S:次はイヌの問題.Aさんの前方100mの地点にBさんがいて,AさんがBさんを追いかけたとする.Aさんの犬はいつも前方にいるBさんに向かって同じスピード1m/sで進み,Bさんに追いついたところで,今度はBさんからAさんに向かって走り出し,AさんがBさんに追いつくまで往復運動を繰り返す.AさんがBさんに追いつくまで5分かかったが,この間にイヌは何m走っただろうか?
U:??
S:わからないのも無理はない.この問題は有名な科学者(フォン・ノイマン)が間違えた問題として有名な(悪名高き)問題である.ゆっくり考えれば誰でもわかるのだが,答えは300mになる.
S:それでは次の問題はわかるだろうか? 1辺の長さ100mの正方形の4つの頂点の1匹ずつ犬がいる.それぞれ,同じ速さ1m/sで隣の犬を追いかけたとする.それぞれの犬はいつも前方にいる犬に向かって同じスピードで進む.4匹の犬を結ぶ図形は回転しながら次第に小さくなる正方形になり,元の正方形の中心で出会うことになる.犬達が正方形の中心で出会うのにどれくらいの時間がかかるか?
U:???
S:(犬の進む経路と正方形の1辺の長さは等しいから,100秒が正解.なお,このとき犬のたどる軌跡は等角らせんとなる.等角らせんの伸開線と縮閉線は,もとの等角らせんと合同な等角らせんになる.)
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[補]等角らせんとは
r=a^θ (あるいはr=aexpkθ)
により表される曲線で,動径をいつも一定の角度で横切るという特徴があり,対数らせんとも呼ばれています.
昆虫には太陽光線に対して一定の角度を維持しながら飛ぶという習性があり,(太陽光線は平行光線とみなせるので日中は問題ないが)夏の夜,街灯や集蛾灯の回りをぐるぐる飛び回る虫の飛跡は等角らせんとなります.
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