■この門くぐるべからず(その3)

 0次元の点がまっすぐ動くと1次元の線分になる.1次元の線分が平面の上で自分と直角の方向に同じ長さだけ動くと,2次元の正方形になる.2次元の正方形が3次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,3次元の立方体となる.この3次元立方体が4次元空間の中で自分と直角方向に1辺の長さだけ動くと,同じ大きさの8個の立方体からなる4次元の立方体(正8胞体)になる・・・.

 こうしてn次元立方体ができあがるが,n次元立方体(正2n胞体)を2次元平面上へ正2n角形を外殻とするように直投影することができる.すなわち,正方形(2次元立方体)を平面に投影すると正方形,3次元立方体を投影すると正六角形,4次元立方体を投影すると正八角形になる.

 3次元立方体の8つの頂点を第4の方向に1単位だけ平行移動することにより,4次元立方体の3次元投影図を描くことができるからである.一般に,n次元立方体の投影図は正2n角形となることがおわかり頂けるであろう.

 次に,投影図形の中央に穴が開くかどうかに注目してみよう.正方形(2次元立方体)を平面に投影した場合は穴が開く.3次元立方体の平面投影図は三角形が6つ合わさった形になり,穴は開かない.4次元立方体の平面投影図には穴が開く.

 これについては,nが2のベキ(n=2,4,8,16,・・・)のとき,中止部に穴が開く.

 一方,正n角形にすべての対角線を引くことを考える.nが偶数のときは中心では必ず対角線が交わるので穴は開かない.nが奇数のとき穴は開くが,nが大きくなると,穴はどんどん小さくなる.

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[Q]正n角形にすべての対角線を引くと,対角線の交点数は?

[A]正n角形の対角線に多重交点がなければI=nC4となります.nが奇数の場合は多重交点がないのでこれが正解ですが,nが偶数のときは中心では必ずn/2本の対角線が交わります.

 また,nが6以上の偶数の場合は必ず多重交点が存在します.多重度は最大でも7を超えないことが確認されていて,6重点以上はnが30の倍数でないと出現しません.

 この後は代数的な議論に加え,煩雑な場合分けと例外処理が必要となります.ここで,関数

  δm(n)=1  (nはmの倍数)

  δm(n)=0  (それ以外)

を用います.すなわち,nがmの倍数ならば1,それ以外ならば0となる関数です.

 正n角形の対角線の交点数の公式には,

  m=2,4,6,12,18,24,30,42,60,84,90,120,210

が出現し,次のようなものになります.

  I=nC4+(−5n^3+24n^2−70n+24)/24・δ2(n)+3n/2・δ4(n)+(−45n^2+262n)/6・δ6(n)+42n・δ12(n)+60n・δ18(n)+35n・δ24(n)−38n・δ30(n)−82n・δ42(n)−330n・δ60(n)−144n・δ84(n)−96n・δ90(n)−144n・δ120(n)−96n・δ210(n)

 たとえば,

  I(6)=13

  I(12)=301

  I(18)=1837

  I(180)=40841461

 また,正n角形をすべての対角線で分断したときの断片数は,

  R=(n−1)(n−2)(n^2−3n+12)/24+(−5n^3+42n^2−40n−48)/48・δ2(n)−3n/4・δ4(n)+(−53n^2+310n)/12・δ6(n)+49n/2・δ12(n)+32n・δ18(n)+19n・δ24(n)−36n・δ30(n)−50n・δ42(n)−190n・δ60(n)−78n・δ84(n)−48n・δ90(n)−78n・δ120(n)−48n・δ210(n)

  R(6)=24

  R(12)=444

  R(18)=2466

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