■書ききれなかった数の話(その3)

【1】アルティンの原始根予想

 aは−1でも平方数でもないものとします.aが素数pに対する原始根とは,a^1−1,a^2−1,・・・,a^p-2−1のどれもpで割り切れなくて,a^p-1−1がpで割り切れるものを指します.

  πa(x)/π(x)〜Cx/(logx)

すなわち,aを原始根にもつ素数は無限個存在するという予想は,一般化されたリーマン予想を仮定すれば成立することがわかっています(Hooley,1967).また,アルティンの原始根予想の関数体版はすでに証明されています.

===================================

【2】10を原始根とする素数

 アルティンの原始根予想において,a=10の場合はガウスによるものであり,ガウスはp<1000であるすべての素数に対して,1/pの周期を計算して,1/pを小数展開したときの周期の長さがp−1である素数は無限に多く存在することを予想しました.

 a=10はp=3の原始根ではなくて,p=7の原始根です.あるいは同じことですが,

  1/7=0.142857142857・・・

    (循環節:142857の長さ6)

  1/17=0.0588235294117647・・・

    (循環節:0588235294117647の長さ16)

のように,1/pを10進法で小数展開したときの循環節の長さがp−1となる特別な素数を10を原始根とする素数といいます.

 10を原始根とする素数,たとえば,

  7,17,19,23,29,47,59,61,97,・・・

の密度について,アルティンは

  π10(x)〜Cx/(logx)

と予想しています.

 ただし,pを素数として,Cは

  C=Π(1−1/p(p−1))=0.37395・・・(アルティンの定数)

 もし,これが正しいとすれば,このような素数は無限にあり,素数全体のうち約3/8を占めることになるのですが,残念ながら証明されていません.

 しかしながら,リーマン予想:ζ(s)の零点がs=−2,−4,・・・,−2nとs=1/2+tiの線上にある:が正しいと仮定するとアルティン予想の成り立つことが証明できることがわかっています.

===================================