■n次元の立方体と直角三角錐(その332)

 正軸体系の(0,・・・0,1)の座標は,

  (0,±1,±2,・・・,±n−1)

の置換2^n-1・n!個である.たとえば,n=4の場合,

  (0,±1,±2,,±3)→192個

単純多面体で辺数はn/2・2^n-1・n!,ファセット数は3^n−1−2^(n-1)nとなる.

 それに対して,置換多面体とは,正単体系の(1,・・・1,1)で,その座標は(n+1)!,単純多面体で辺数はn/2・(n+1)!,ファセット数は2(2^n−1)である.

 正軸体系の(0,・・・0,1)は置換多面体としばしば誤解されるが,平行多面体とも混同されているようだ.

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【1】置換多面体

 a1>a2>・・・>anとするとき,(a1,a2,・・・,an)の添字を置換して得られるn!個の点からなる(n−1)次元の多面体は置換多面体(順列多面体)と呼ばれる.とくにa1=n,a2=n−1,・・・,an=1の場合を指すこともある

 置換多面体は置換を1回適用することで同じものになる2頂点を辺で結んでできる.たとえば,n=4の場合の置換多面体で,頂点1342と結ばれるのは1432,1324,3142の3頂点である.

 この多面体は単純ゾノトープで,2^n−2個のファセットをもつ.したがって,n次元置換多面体は(n+1)!個の頂点と2(2^n−1)個のファセットをもつことになる(2次元置換多面体は六角形,3次元置換多面体は切頂八、面体).

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【2】平行多面体

 オイラーの多面体定理を使うと

[1]2次元泡細胞の辺数の平均は≦6であり,すべての泡細胞が6辺以上の辺をもつことは不可能である

[2]3次元泡細胞の面数の平均は≦14であり,すべての泡細胞が14面以上の面をもつことは不可能である

ことが証明される.

 2次元細胞の多くは6角形であり,3次元細胞の多くには14面体であることはわかったが,4次元,5次元,・・・,n次元での空間充填多面体の基本形はどうなるのだろう? どのような形になるのかを知る人は(たとえいたとしても)非常に少ないであろう.

 そこで,「n次元の舗石定理」をまとめておきたい.

[1]n次元空間充填では,各頂点の周りに少なくともn+1個の多面体が集まる(ルベーグ).

[2]n+1個のとき,平行多面体の面数は最大2(2^n−1)個で,安定な空間充填となる(ミンコフスキー).

n   3^n−1−2^(n-1)n   2(2^n−1)

2      4            6

3     14           14

4     48           30

5    152           62

6    536          126

であって,正軸体系の(0,・・・0,1)は2次元・3次元では空間充填図形であるが,4次元以上ではそうはならない.

 逆にいうと,2次元・3次元では空間充填図形であるから平行多面体としばしば間違われるのだと思う.

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