■奇数ゼータの無理数性(その6)

 微積の学び初めに,x→0としたとき,

  sinx/x→1

に出会う.この結果は

  (sinx)’=cosx,(cosx)’=−sinx

を示すのに用いられる.

 その後,sinxのテイラー展開によって,無限級数

  sinx=x−x^3/3!+x^5/5!−x^7/7!+・・・

  sinx/x=1−x^2/3!+x^4/5!−x^6/7!+・・・

が示される.

 それでは,任意のxに対して,無限積公式

  sinx/x=cosx/2cosx/4cosx/8・・・

も示しておこう.

(証明)

  sinx=2sinx/2cosx/2

      =4sinx/4cosx/4cosx/2

      =8sinx/8cosx/8cosx/4cosx/2

       ・・・・・

      =2^nsinx/2^ncosx/2^n・・・cosx/2

 書き直すと

  sinx=x[sin(x/2^n)/(x/2^n)]cosx/2・・・cosx/2^n

 ここで,n→∞のとき,

  sin(x/2^n)/(x/2^n)→1

であるから,sinxの無限積表示

  sinx=xΠcosx/2^n

      =x(1−x^2/π^2)(1−x^2/4π^2)(1−x^2/9π^2)・・・

が得られる.この結果は,sinxがx=0,±π,±2π,±3π,・・・のとき,0になることに一致している.

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 ここでは,cosxの無限積表示

  cosx=(1−4x^2/π^2)(1−4x^2/9π^2)(1−4x^2/25π^2)・・・

を用いているが,tanxに対しては,部分分数の無限級数表示

  tanx=8x[1/(π^2−4x^2)+1/(9π^2−4x^2)+1/(25π^2−4x^2)+・・・]

が成り立つ.

 x=π/4とすると,

  1=4/π(1−1/3+1/5−1/7+・・・)

であるから,グレゴリー・ライプニッツ級数

  π/4=1−1/3+1/5−1/7+・・・

が導かれる.

 グレゴリー・ライプニッツ級数はπを含んでいる無限級数として最初のものなのだが,オリジナルは

  arctanx=x−x^3/3+x^5/5−x^7/7+・・・

から発見されたものである.

 また,x→0としたときのtanx/xの漸近挙動から,

  π^2/8=1/1^2+1/3^2+1/5^2+・・・

さらに,

  S=1/1^2+1/2^2+1/3^2+・・・

   =1/1^2+1/3^2+1/5^2+・・・+1/2^2+1/4^2+1/6^2

   =1/1^2+1/3^2+1/5^2+・・・+1/4[1/1^2+1/2^2+1/3^2+・・・]

   =π^2/8+S/4

 したがって,

  S=1/1^2+1/2^2+1/3^2+・・・=π^2/6

となるが,これはオイラーにより発見された有名な級数である.

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