■n次元の立方体と直角三角錐(その310)

 頂点数および胞数はわかったが,中間の次元の辺や面の個数の一般式については気になるところである.辺数を数えるだけならば,座標にこだわらず,変形を加えてから,組み合わせ的方法によって求めてもよかろう.

 そこで,正単体を第1象限の直角三角錐に変形させることにすると,正軸体の場合のアルゴリズムを援用させることができると思われるし,その方が早道であろう.

 正軸体では他の象限との間に架かる辺についてはω→−ωとしたが,正軸体ではω→0とすればよい.そうすれば,正軸体との違い,すなわち,P0周囲に集まるn−1次元性単体数は正軸体の2^n-1に対して,正単体ではnであることが自然に解消される.早速調べてみよう.

===================================

【1】3次元正軸体→3次元正単体

[1]形状ベクトル[1,0,0]の場合→切頂のみ

  (x2/a2−x3/a3)/Δ23=x3/a3=0

  x1/a1+x2/a2+x3/a3=1

と考えた方が正軸体と整合性がとれる.

  (y−z)/√2=z=0,y=z=0

 →(±x,0,0)の置換であるから6通り

 →x=1,y=z=0

→(x,0,0)は同じ象限に2本(0,x,0),(0,0,x)

 他の象限に2本(0,−x,0),(0,0,−x)→(m=4)

→最小偏差Δ=xは0→xの偏差である

 同じ象限の次数は,正軸体と正単体で変わらないから,他の象限の次数について調べてみると,他の象限に2本(0,−x,0),(0,0,−x)は−x→0とすると同じものになる.したがって,m=4→3.

[2]形状ベクトル[0,1,0]の場合→切頂のみ

  (x−y)/√2=0,z=0,x=y

 →(±x,±x,0)の置換であるから12通り

 →x=y=1/2,z=0

→(x,x,0)は同じ象限に2本(x,0,x),(0,x,x)

 他の象限に2本(0,x,−x),(x,0,−x)→(m=4)

→最小偏差Δ=xは0→xの偏差である

 他の象限の2本(0,x,−x),(x,0,−x)は−x→0としても同じものにならない.したがって,m=4→4.

===================================

【2】4次元正軸体→4次元正単体

[1]形状ベクトル(1,0,0,0)の場合→切頂のみ

  (y−z)/√2=(z−w)/√2=w=0,y=z=w=0

 →(±x,0,0,0)の置換であるから8通り

 →x=1

→(x,0,0,0)は同じ象限に3本(0,x,0,0),(0,0,x,0),(0,0,0,x)

 他の象限に3本(0,−x,0,0),(0,0,−x,0),(0,0,0,−x)→(m=6)

→最小偏差Δ=xは0→xの偏差である

 同じ象限の次数は,正軸体と正単体で変わらないから,他の象限の次数について調べてみると,他の象限の3本(0,−x,0,0),(0,0,−x,0),(0,0,0,−x)は−x→0とすると同じものになる.したがって,m=6→4.

[2]形状ベクトル(0,1,0,0)の場合→切頂のみ

  (x−y)/√2=0,(z−w)/√2=w=0,x=y,z=w=0

 →(±x,±x,0,0)の置換であるから24通り

 →x=y=1/2,z=w=0

→(x,x,0,0)は同じ象限に4本(x,0,x,0),(x,0,0,x),(0,x,x,0),(0,x,0,x)

 他の象限に4本(x,0,−x,0),(x,0,0,−x),(0,x,−x,0),(0,x,0,−x)→(m=8)

→最小偏差Δ=xは0→xの偏差である

 同じ象限の次数は,正軸体と正単体で変わらないから,他の象限の次数について調べてみると,他の象限の4本(x,0,−x,0),(x,0,0,−x),(0,x,−x,0),(0,x,0,−x)は−x→0とすると2本になる.したがって,m=8→6.

[5]形状ベクトル(1,1,0,0)の場合→切頂のみ

  (z−w)/√2=w=0,z=w=0

  (x−y)/√2=(y−z)/√2

 →(±x,±y,0,0)の置換であるから48通り

 →x=2/3,y=1/3,z=w=0

→(x,y,0,0)は同じ象限に3本(y,x,0,0),(x,0,y,0),(x,0,0,y)

 他の象限に2本(x,0,−y,0),(x,0,0,−y)→(m=5)

→最小偏差Δ=yは0→y,y→xの偏差である

 同じ象限の次数は,正軸体と正単体で変わらないから,他の象限の次数について調べてみると,他の象限の2本(x,0,−y,0),(x,0,0,−y)は−y→0とすると同じものになる.したがって,m=5→4.

===================================