■パスカルの三角形に詰まっているもの(その2)
二項展開(二項定理)の係数を三角形状に並べたものがパスカルの三角形である.たとえば,
(1+x)^5=1+5x+10x^2+10x^3+5x^4+x^5
で,先頭と最後が常に1となり,その間の数値は前の行の連続した数値を加えていくことに得られる.
11のn乗数を並べて見ると
11^0=1
11^1=11
11^2=121
11^3=1331
11^4=14641
11^5=15[10][10]51
11^6=16[15][20][15]61
このようにパスカルの三角形は11のn乗数が並んだものと見ることができるのである.
11^4はいくつか?
11^2=121
11^4=121・121
この数の計算は面倒であるが,二項係数を知っている人にとって,この計算はたやすい.
11^4=14641
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【1】シェルピンスキーの三角形とパスカルの三角形
係数が奇数である場合にそのセルを黒くするとセルオートマトンの規則90
Ci(t+1)=Ci-1(t)+Ci+1(t) (mod2)
で与えられるようなネスト型の三角形パターンを生成する.このパターンはシェルピンスキーの三角形と呼ばれるモザイク模様である.
シェルピンスキーがこの三角形を発見したのは1915年である.この事実は,パスカルの三角形にはまだ新たな発見があり得ることを示している.
係数が3で割り切れないとき場合にそのセルを黒くする,係数が4で割り切れないとき場合にそのセルを黒くする,係数が5で割り切れないとき場合にそのセルを黒くする,・・・という作業を続けてた場合も左右対称なモザイク模様が現れる.
[補]チューリングは数理生物学の基礎を形作ったひとりでもある.トラやシマウマの毛皮の独特の模様が形成される過程を数学的に説明することに成功した.
多くの人は,貝殻を拾い上げてその着色パターンに驚嘆した覚えがあろう.それぞれが独特の美しさをたたえているが,そのパターン形成の仕組みはわかっていない.まるで科学者に対して挑んでいるかのように思えるこの問題の数学的解答が,二項展開あるいは三項展開である.
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【2】フィボナッチ数とパスカルの三角形
パスカルの三角形では先頭と最後が常に1となり,その間の数値は前の行の連続した数値を加えていくことに得られる.一方,フィボナッチ数は前2項の和と等しい.どちらも再帰的(同じ規則を反復的に実行する)というわけである.
パスカルの三角形になだらかな斜線を引いて,斜線上に並ぶ数の和をとればフィボナッチ数が順番に現れる.
1+1=2,1+2=3,1+3+1=5,1+4+3=8,1+5+6+1=13,・・・
パスカルの三角形とフィボナッチ数の関係は古くから知られていたが,
fn=Σ(n−k,k)
はその二項係数表現になっている.
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