■πの級数公式(その11)
(その10)の
17/12>√2
265/153<√3<1351/780
などを補足したい.
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【1】連分数
√2=1+(√2−1)
=1+1/(√2+1)
=1+1/(2+(√2−1))
=1+1/(2+1/(√2+1))
=1+1/(2+1/(2+(√2−1)))
=1+1/(2+1/(2+1/(√2+1)))
これを永久に繰り返すことができます.
√2=[1:2,2,2,・・・]
この連分数を途中で打ち切ったものを考えると
1+1/2=3/2>√2
1+1/(2+1/2)=1+2/5=7/5<√2
1+1/(2+1/(2+1/2))=1+1/(2+2/5)=1+5/12=17/12>√2
となって
17/12>√2
が得られます.
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√(1+√(1+√(1+√(1+・・・))))=φ (黄金比)
ですが,連分数展開を用いると
φ=1+(φ−1)
=1+1/φ (∵φ−1=1/φ)
=1+1/(1+(φ−1))
=1+1/(1+1/φ)
=1+1/(1+1/(1+(φ−1)))
=1+1/(1+1/(1+1/φ))
より
[1:1,1,1,.・・・]=φ (黄金比)
と表すことができます.この連分数展開は幾何学的には「回転する正方形」の問題と関係しています.
1+1/1=2>φ
1+1/(1+1/1)=1+1/2=3/2<φ
1+1/(1+1/(1+1/1))=1+1/(1+1/2)=1+2/3=5/3>φ
となりますが,きわめて収束が遅いことがわかります.
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√3の連分数表示は
√3=1+(√3−1)
=1+1/((√3+1)/2)
=1+1/(1+(√3−1)/2)
=1+1/(1+1/(√3+1))
=1+1/(1+1/(2+(√3−1)))
=1+1/(1+1/(2+1/(√3+1)/2))
より
√3=[1:1,2,1,2,・・・]
で表されます.
この連分数を途中で打ち切ったものを考えると
1+1/1=2>√3
1+1/(1+1/2)=1+2/3=5/3<√3
1+1/(1+1/(2+1/1))=1+1/(1+1/3)=1+3/4=7/4>√3
となりますが,収束が遅いので,ここではバビロニアの方法(ヘロンの方法)を用いることにします.
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【2】バビロニアの方法(ヘロンの方法)
aの平方根を求める反復式があります.x0≒√aから始めて
xn+1=(xn+a/xn)/2
を繰り返します.
たとえば,a=3のとき,x0=2から始めると,
x1=(2+3/2)/2=7/4=1.75
x2=(7/4+12/7)/2=97/56=1.7321
たったこれだけで√3の最初の4桁まで正しい値を求めることができる.
x3=(97/56+168/97)/2=18817/5432=1.7320508
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