■ラマヌジャンが編み出した数学上の技巧(その4)

 ラマヌジャンの問題「2^n−7=x^2の整数解を求めよ」について,n=10^40までコンピュータ検索したが,ラマヌジャン自身が示した解

  n=3,4,5,7,15

以外の解を発見することはできなかったという.最近,この5組以外の解はないことが証明された.証明はかなり難しいらしい.

 今回のコラムでは符号を変えた問題

  「2^n+7=x^2の整数解をすべて求めよ」

と対比しながら,ラマヌジャンの問題について考えてみたい.

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【1】2^n+7=x^2の整数解

 nが偶数の場合,与えられたディオファントス方程式は

  7=x^2−2^n=(x−2^n/2)(x+2^n/2)

のように因数分解できる.(x−2^n/2),(x+2^n/2)は7の因数であるから±1,±7でなければならない.このことから,xは奇数であることが示されるが,このアプローチではこれで精いっぱいである.

 次に

  2^n+7=x^2  (mod2)

を考えれば,

  n>0のとき,7=x^2

  n=0のとき,8=x^2

それほど悪くはないが,まだうまくいかない.

 そこで,mod2の代わりにmod4,すなわち

  2^n+7=x^2  (mod4)

を考えれば,

  n>1のとき,3=x^2

  n=1のとき,1=x^2

  n=0のとき,0=x^2

 xが偶数のとき,x=2k→x^2=4k^2

 xが奇数のとき,x=2k+1→x^2=4(k^2+k)+1

より,平方数x^2に対してはx^2=0あるいは1(mod4)でなければならない.このことはn=0か1であることを意味する.n=0はx^2=8よりNG.n=1,x=±3であることが示される.

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【2】2^n−7=x^2の整数解(ラマヌジャンの問題)

  2^n−7=x^2  (mod4)

を考えれば,

  n>1のとき,1=x^2

  n=1のとき,3=x^2

  n=0のとき,2=x^2

これはn>1であることを意味するが,[1]とは違って有限個の可能性以外のすべての場合を除去することはできないのである.

 「2^n−7=x^2の整数解を求めよ」と「2^n+7=x^2の整数解を求めよ」には大きな違いがあるようには見えないが,実際の難しさは段違いなのである.

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【3】2^n+1=x^2の整数解

 左辺の1を右辺に移項して因数分解すると

  2^n=(x+1)(x−1)

素因数分解の一意性より

  x−1=2^k,x+1=2^m

  2=2^k(2^m-k−1)

この等式が成立するのはk=1,m=2,x=3,n=3のときだけである.

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  2^n+1=x^2  (mod2)

を考えれば,

  n>0のとき,1=x^2

  n=0のとき,0=x^2

 xが偶数のとき,x=2k→x^2=4k^2

 xが奇数のとき,x=2k+1→x^2=4(k^2+k)+1

より,平方数x^2に対してはx^2=0あるいは1(mod2)でなければならない.このことはn=0→xは偶数→x=0かn>0→xは奇数であることを意味する.

  x=1+2t

  2^n=(x+1)(x−1)

に代入すると

  t(t+1)=2^n-2

この等式が成立するのはt=1,x=3,n=3のときだけである.

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【4】2^n−1=x^2の整数解

 左辺の1を右辺に移項して因数分解すると

  2^n=(x+1)(x−1)

素因数分解の一意性より

  x−1=2^k,x+1=2^m

  2=2^k(2^m-k−1)

この等式が成立するのはk=1,m=2,x=3,n=3のときだけである.

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  2^n−1=x^2  (mod2)

を考えれば,

  n>1のとき,1=x^2

  n=1のとき,1=x^2

  n=0のとき,0=x^2

 xが偶数のとき,x=2k→x^2=4k^2

 xが奇数のとき,x=2k+1→x^2=4(k^2+k)+1

より,平方数x^2に対してはx^2=0あるいは1(mod2)でなければならない.このことはn=0→xは偶数→x=0かn=1→xは奇数→x=1であることを意味する.

 n>1のときは,x=1+2tを

  2^n−1=x^2

に代入すると

  2t(t+1)+1=2^n-1

となるが,この等式は成立しない.

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