■追跡曲線(その23)

 等角らせんの縮閉線(各点での法線の包絡線)は再び等角らせんであることはよく知られている.それに較べ,「等角らせんを直線に沿って転がすと,等角らせんの原点は直線を描くが弧長は,原点を頂点とする直角三角形の斜辺の長さに等しい.」という性質はあまり知られていないようだ.この性質を使って,追跡曲線の長さLを計算してみる.

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 正n角形の1辺の長さを1,外接円の半径をRとする.

  R=1/2sin(π/n)

  L/R=1/cos(π/2−π/n)=1/sin(π/n)

  L=R/sin(π/n)=1/2(sin(π/n))^2

と計算される.

 追跡曲線の長さLが辺の長さ1に等しくなるのは,n=4のときだけである.これは正方形の中心角が90°だからであって,正三角形ではL<1,正五角形ではL>1であることが理解される.

 また,nが大きくなると辺長/頂点・中心間距離は相対的に小さくなるので,ますます辺長と食い違うことになる.これでもって,宿題の解答としたい.

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