■正三角形の縮小三角形(その4)
三角形ABCの各辺を1:λの比に順次内分した点D,E,Fとし,AD,BE,CFの2本ずつの交点が作る三角形PQRを仮に「縮小三角形」と呼ぶことにする.
[Q1]縮小三角形がもとの三角形と相似になることがあるか? あるとすればどのような場合か?
一松信先生はこの問題を「重心座標」を使って計算された.
[1]主要な点の重心座標はD(0,λ,1),E(1,0,λ),F(λ,1,0)
直線AD,BE,CFの方程式はそれぞれy/λ=z,z/λ=x,x/λ=y.これらの交点としてP(λ,1,λ^2),Q(λ^2,λ,1),R(1,λ^2,λ) (いずれも重心座標の比のみ)
ΔPQRの面積/ΔABCの面積=[λ,1,λ^2]/(λ^2+λ+1)^3
[λ^2,λ,1]
[1,λ^2,λ]
=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)
λ=2なら1/7,λ=3なら4/13
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[2]ΔPQRの辺の長さは重心座標の長さの公式から次のようになる.
PQ^2=1/(λ^2+λ+1)^2×[λ−λ^2,1−λ,λ^2−1]のノルム
=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[−λ,1,λ+1]のノルム
=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[a^2(λ+1)+b^2λ(λ+1)−c^2λ]
同様に
QR^2=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[−a^2λ+b^2(λ+1)+c^2λ(λ+1)]
RP^2=(λ−1)^2/(λ^2+λ+1)×[a^2λ(λ+1)−b^2λ+c^2(λ+1)]
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[3]ΔPQRがΔABCと相似とすると,面積の関係から長さの相似比は (λ−1)/√(λ^2+λ+1)
である.したがって,PQ^2,QR^2,RP^2は
a^2,b^2,c^2/(λ^2+λ+1)
のいずれかに等しくなる.すなわち,共通因子を除いて,分子の[・・・]の内の量が
(a^2,b^2,c^2)(λ^2+λ+1)
のいずれかに等しくなる.
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[4]その形で方程式を作るが,同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると
a^2(λ+1)+b^2λ(λ+1)−c^2λ=a^2(λ^2+λ+1)
−a^2λ+b^2(λ+1)+c^2λ(λ+1)=b^2(λ^2+λ+1)
a^2λ(λ+1)−b^2λ+c^2(λ+1)=c^2(λ^2+λ+1)
→−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0
(λ+1)a^2−b^2−λc^2=0
−λa^2+(λ+1)b^2−c^2=0
3式を加えると,両辺とも同じ(a^2+b^2+c^2)(λ^2+λ+1)になるので,この3式は独立ではなく,a=b=cを得る.
右辺を巡回置換してもいずれも同様に計算してa=b=cに達する.すなわち自明な正三角形の場合以外にはあり得ない.
裏返しに相似なとき,上述のPQ^2,QR^2,RP^2の式はそのままにして,第2式,第3式の右辺のb^2,c^2を入れ換える.
第1式→−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0
第2式は右辺がc^2(λ^2+λ+1)であるから,整理すると
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
となるが,これは第1式と同値である.
第3式は右辺がb^2(λ^2+λ+1)であるから,整理すると
−a^2−λb^2+(λ+1)c^2=0
となって,これも第1式と同値である.
すなわち,この場合には相似条件式が同一の条件
a^2+λb^2−(λ+1)c^2=0
になる.もちろんa=b=cはこれを満足するが,それ以外にも多数の解がある.そしてそれが必要十分条件であり,実際に縮小三角形がもとの三角形と裏返しに相似になる.
例:λ=2のとき,a=1,b=2,c=√3(正三角形の半分)
同様にa,b,cを巡回置換すれば
−(λ+1)a^2+b^2+λc^2=0
λa^2−(λ+1)b^2+λc^2=0
という場合が生ずるが,これは単にa,b,cの順序を変えた(三角形を回した)ものにすぎない.
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