■正三角形の縮小三角形(その2)
[1]一般に与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν−1)^2/(λμ+λ+1)(μν+μ+1)(νλ+ν+1)
倍に等しくなる.
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3−1)^2/(λ^2+λ+1)^3=(λ−1)^3/(λ^3−1)
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/7.
[2]与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって点同士を結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の
M=(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
倍に等しくなる.
(証)1/(λ+1)・μ/(μ+1)+1/(μ+1)・ν/(ν+1)+1/(ν+1)・λ/(λ+1)=1−(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)
λ=μ=νの場合,
M=(λ^3+1)/(λ+1)^3
倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/3.λ=μ=ν=−2のとき7.
今回のコラムの問題は,
[Q]三角形ABCの各辺を1:λの比に順次分けた点D,E,Fが作る三角形DEFがもとの三角形と相似になることがあるか? あるとすればどのような場合か?
===================================
[1]主要な点の重心座標はD(0,λ,1),E(1,0,λ),F(λ,1,0)
ΔDEF/ΔABCの面積=[0,λ,1]/(λ+1)^3
[1,0,λ]
[λ,1,0]
=(λ^3+1)/(λ+1)^3=(λ^2−λ+1)/(λ+1)^2
[2]ΔDEFの辺の長さは重心座標の長さの公式から次のようになる.DEの距離の2乗は正規化したD,Eの重心座標の差[−1,λ,1−λ](和が0)に公式を適用して
DE^2=1/(λ+1)^2×[−1,λ,1−λ]のノルム
=1/(λ+1)^2×[−a^2λ(1−λ)+b^2(1−λ)+c^2λ]
=1/(λ+1)^2×[a^2λ(λ−1)+b^2(1−λ)+c^2λ]
同様に
EF^2=1/(λ+1)^2×[a^2λ+b^2λ(λ−1)+c^2(1−λ)
FD^2=1/(λ+1)^2×[a^2(1−λ)+b^2λ+c^2λ(λ−1)]
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[3]ΔDEFがΔABCと相似とすると,面積の関係から長さの相似比は
(λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)
である.したがって,DE^2,EF^2,DFE^2は
a^2,b^2,c^2(λ^2−λ+1)
のいずれかに等しくなる.すなわち,共通因子を除いて,分子の[・・・]の内の量が
(a^2,b^2,c^2)(λ^2−λ+1)
のいずれかに等しくなる.
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[4]ΔDEFがΔABCと相似としたとき,どの辺が対応するかが問題ですが,仮に相対する辺が比例するとすると,DE:AB=EF:BC=FD:CA,相似比が(λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)であることから,(a+1)^2を消去して
a^2λ(λ−1)+b^2(1−λ)+c^2λ=c^2(λ^2−λ+1)
a^2λ+b^2λ(λ−1)+c^2(1−λ)=a^2(λ^2−λ+1)
a^2(1−λ)+b^2λ+c^2λ(λ−1)=b^2(λ^2−λ+1)
を得ます.
3式を加えると,両辺とも
左辺(a^2+b^2+c^2)(λ^2−λ+1)
となる.
この方程式を整理すると,第1式から
a^2λ(λ−1)−b^2(λ−1)+c^2(λ−1)^2=0
したがって,λ=1(中点をとる)か,または,a^2λ−b^2+c^2(λ−1)=0を得ます.
λ≠1なら同様に
−a^2(λ−1)+b^2λ−c^2=0
−a^2+b^2(λ−1)+c^2λ=0
を得ます(和は0).これから
a^2−b^2=λ(c^2−b^2)
などがでるので,a=b=c(正三角形)なら文句なし,そうでないと
λ=(c^2−b^2)/(a^2−b^2)=(a^2−c^2)/(b^2−c^2)=(b^2−a^2)/(c^2−a^2)
などとなりますが,これは分母を払って整理するとa=b=c以外には成立しません.
すなわち,この場合は元の三角形が正三角形であるが,またはλ=1(中点)のときに限ります.もっとも直接初等幾何学的に考えた方が早いかもしれません.
===================================