■追跡曲線(その8)

 (その7)の宿題を片づけたい.最初に,コラム「正三角形の縮小三角形」に掲げた,もとの正三角形の1辺の長さを1とすると,縮小三角形の1辺の長さPQは

  (λ−1)/√(λ^2+λ+1)

を利用することを考えたのだが,もっと簡単な方法が思い浮かんだ.

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 正三角形の3つの頂点の1匹ずつ犬がいる.それぞれ,同じ速さで隣の犬を追いかけたとする.それぞれの犬はいつも前方にいる犬に向かって同じスピードで進む.3匹の犬を結ぶ図形は回転しながら次第に小さくなる正三角形になり,元の正三角形の中心で出会うことになる.

[Q]犬のたどる等角らせんr=B^θにおいて,Bの値は?

[A]一般に与えられた三角形の各辺を同じ倍率kで伸縮した位置に点をとって作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=3k^2−3k+1=3(k−1/2)^2+1/4

倍になる.

  k=1/3 → M=1/3  (3等分)

  k=1/2 → M=1/4  (4等分)

  k=2/3 → M=1/3  (3等分)

  k=1   → M=1

  k=2   → M=7    (7等分)

となる.

 0<k<1のときはもとの三角形より小さくなり,k=1/2のとき最小値1/4をとる.k>1のときはもとの三角形より大きくなり,k=2のときには7倍になるが,与えられた三角形の各辺を逆方向に延ばすと大きな三角形の対辺を1:2に内分する点と交わるのである.

 k=2の場合,拡大三角形の1辺の長さは√7になる.ここで,余弦定理

  1^2=2^2+(√7)^2−2・2・√7cosα

  cosα=5/2√7

 θがarccosα進む毎にrの値が√7倍になる→B=√7の1/arccosα乗

もし,r=aexpbθの形であれば

  B=expb=√7の1/arccosα乗

  b=1/2arccosαlog7

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【1】まとめ

 この結果は正三角形に限らず,任意の三角形に対して成り立つ.

[1]さらに調べてみたところ,一般に与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって対頂点と結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=(λμν−1)^2/(λμ+λ+1)(μν+μ+1)(νλ+ν+1)

倍に等しくなる.

 λ=μ=νの場合,

  M=(λ^3−1)^2/(λ^2+λ+1)^3=(λ−1)^3/(λ^3−1)

倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/7.

[2]与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとって点同士を結んで作った三角形の面積は,もとの三角形の面積の

  M=(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)

倍に等しくなる.

(証)1/(λ+1)・μ/(μ+1)+1/(μ+1)・ν/(ν+1)+1/(ν+1)・λ/(λ+1)=1−(λμν+1)/(λ+1)(μ+1)(ν+1)

 λ=μ=νの場合,

  M=(λ^3+1)/(λ+1)^3

倍に等しくなる.λ=μ=ν=2(k=1/3)のとき1/3.λ=μ=ν=−2のとき7.

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