■テオドロスのらせん(その5)
対数らせんやアルキメデスのらせんは発散するらせんであった.テオドロスのらせんの漸近挙動もアルキメデスのらせんに近づいていくことがわかっている.
それに対して,(その3)で紹介したらせんにおいて,オイラー級数の収束速度は非常に遅く,その結果,点Pkはゆっくり外向きの螺線を描きながら半径π/√6の極限円に限りなく近づく収束するらせんである.
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【1】調和散歩の問題
(Q)原点から実軸上を正の方向に1きたところで,反時計回りにθ回転し1/2進む.さらに再度θ回転し1/3進む.次はθ回転し1/4進む.これを繰り返す.最終到達点は?
(A)最終到達点は
p(θ)=1+1/2exp(iθ)+1/3exp(i2θ)+1/4exp(i3θ)+・・・
=Σ(k=1,∞)cos((k−1)θ)/k+iΣ(k=1,∞)sin((k−1)θ)/k
θ=π/2のとき
p(π/2)=(1−1/3+1/5−1/7+・・・)+i(1/2−1/4+1/6−1/8+・・・)=π/4+i1/2log2
このとき,終点と原点との距離は
|p(π/2)|={(π/4)^2+(1/2log2)^2}^1/2=0.8585
θ=πのとき
p(π)=1−1/2+1/3+1/4−・・・=log2
|p(π)|=log2=0.693
最終到達点が原点から最も近いのは,θ=πのときであることが示される.
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【2】クロソイド
この螺線はコルニュの螺線(クロソイド)である.
クロソイド曲線は
x(s)=∫(0,s)cos(θ^2/2)dθ
y(s)=∫(0,s)sin(θ^2/2)dθ
で与えられるが,これはフレネル積分の特別な場合である.
その曲率半径は1/s(曲率はs)である.sは弧長であるから,曲線に沿って原点から遠ざかるにつれて,一定値sで曲率は大きくなることがわかる.
等速で走行しながら一定の速度でハンドルを切ると,車の奇跡はクロソイド曲線を描く.高速道路において直線区間と円弧区間の境目では急激なハンドル操作は車を不安定な状態に陥らせる.そのため,直線区間と円弧区間を緩和曲線と呼ばれる曲率が緩やかに変化する曲線でつながれるのである.
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