■テオドロスのらせん(その3)

 オイラー級数を

  Hn=1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+・・・+1/n^2

と定義します.オイラー級数は次第に減少する項からなりますが,nを無限大にしたとき,無限級数

  H∞=1/1^2+1/2^2+1/3^2+1/4^2+・・・=π^2/6

に収束します.

 1734年,オイラーが当時懸案の大問題(バーゼル問題)を解いたのですが,次に,この漸近挙動を示す直角三角形連鎖を取り上げてみることにします.

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【1】オイラー級数の螺線

 原点をO,点P1を(1,0)とします.点P1において長さ1/2の垂線P1P2⊥OP1を立て点P2(1,1/2)とします.すると,OP2=√(1/1^2+1/2^2)となります.さらに点P2において長さ1/3の垂線P2P3⊥OP2を立てます.OP3=√(1/1^2+1/2^2+1/3^2)となります.これを繰り返せば,1,√(1/1^2+1/2^2),√(1/1^2+1/2^2+1/3^2),・・・,√(Σ1/k^2)が得られ,点P1,P2,・・・は螺線のような図形を作ります.

 動径ベクトルOPkの長さは√(Σ1/k^2)になりますから,k→∞のとき,  |OPk|→π/√6.また,

  |OP1|+|P1P2|+・・・+|Pn-1Pn|=1+1/2+1/3+1/4+・・・→∞.

それでは動径ベクトルOPkの偏角がπ,2πを越すときのkの値は?

[A]オイラー級数の収束速度は非常に遅く,その結果,点Pkはゆっくり外向きの螺線を描きながら半径π/√6の極限円に限りなく近づきます.

 単精度で計算したので誤差があると思われるのですが,

  θ=arctan(1/k√Hk-1)

としてΣθを求めると,

  π→ k=69

  2π→k=3858

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