■帯を巻いて多面体を作る

 6本の帯を巻き付けた正12面体などは,日本の伝統的な手鞠を思わせるが,日本の蹴鞠に似たスポーツにタイなど東南アジアを中心に行われているセパタクローがある.ルールは蹴鞠とバレーボールの中間のアクロバット的なスポーツで,ご存じの方も多かろう.

 セパタクローのボールも6本の籐性の帯を編み込んでいて,足で蹴ったくらいでは壊れない,とても丈夫なものである.セパタクローのボールはサッカーボールと同じ32面体であるが,歴史的にどっちが原型であるかはわからないが,おそらく,セパタクローが先と思われる.その理由は,古いサッカーボールはバレーボール型(位相幾何学的12面体を丸くしたような形)であって,私もこのボールで遊んだ経験があるからだ.

 32面体のいまのデザインに変わったのは.1970年のメキシコ・ワールドカップからだそうである.この32面体は切頂二十面体(最も球に最も近い準正多面体)で,正5角形が12枚,正6角形が20枚の合計32枚でできているが,実物を見ながらでもそれぞれの個数はなかなか求められないものである.

 そこで,正5角形がx枚,正6角形がy枚の合計32枚でできているとする.

  x+y=32

正5角形の頂点数は5x,正六角形の頂点数は6y個ある.ここでひとつの頂点に注目すると,その回りには正5角形1個と正六角形2個が取り巻いていることから,

  5x:6y=1:2 → 10x=6y

これを解いて,x=12,y=20

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 もっと一般的な問題を解いてみよう.

(Q)五角形と六角形からなる多面体には五角形が常に12個ある.

(A)n本の辺をもつfn枚の面とn本の辺が交わるvn個の頂点をもつ凸多面体について,

  F=f3+f4+f5+・・・

  2E=3f3+4f4+5f5+・・・

  6F−2E≧12

に代入すると

  3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・≧12

 地図のように2つの辺に囲まれた領域まで許すことにすると,この数え上げ公式は

  4f2+3f3+2f4+f5−f7−2f8−3f9−・・・=12

となり,係数が1ずつ小さくなり,それが0となるf6は式中に現れない.

 このことからもf3,f4,f5の少なくとも1つは0でない→多面体には3角形か4角形面か5角形面が少なくとも1つなければならない,同様に,多面体の少なくとも1つの頂点は3次か4次か5次でなければならない→すべての頂点の次数が6以上となることは不可能であり,必ず次数が5以下の頂点をもつことが導き出される.これもオイラーが知っていた結果であるということである.

 ここで,

(1)f2=f3=f4=0だとすると,少なくとも12個のf5がなければならないことになる(フラーレン).

(2)多面体の面がすべてf5とf6であるならば,f5=12(切頂二十面体など)

(3)多面体の面がすべてf4とf6であるならば,f4=6(切頂八面体など)

(4)多面体の面がすべてf4,f6,f8であるならば,f4=f8+6(大菱形立方八面体など)

(5)多面体の面がすべてf3とf6であるならば,f3=4(切頂四面体など)

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