■もうひとつの黄金三角形
辺の長さが黄金比の二等辺三角形は「黄金三角形」と呼ばれる.この黄金二等辺三角形には底辺が側辺の1/τ倍の短いもの(頂角がπ/5)と底辺がτ倍の長いもの(底角がπ/5)の2種類ある.正五角形も黄金二等辺三角形に分割できるので,2種類の黄金二等辺三角形の非周期的配列によって平面を隙間なく埋め尽くすことができることになる.
また,黄金二等辺三角形の底辺を合わせると細い菱形と太った菱形ができるが,この菱形は辺の長さと対角線の長さが黄金比の関係になっていて,ペンローズパターンの基本の菱形として重要なものである.ペンローズの非周期的パターンは2種類の菱形(108°+72°,144°+36°)の組み合わせである.
それに対して,2つの対角線の長さの比が黄金比に基づく菱形(黄金菱形)も大切な菱形である.黄金菱形を2つに割ってできる三角形の側辺の長さは,底辺の(1+τ^2)^1/2=0.95倍で,正三角形からわずかにつぶれた二等辺三角形となっている.
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【1】もうひとつの黄金三角形
辺の長さが1:2:√5の直角三角形は「黄金三角形」と呼ばれることもあるようだ.この図形が「黄金長方形」の作図において重要だからである.
(1)与えられた線分を1辺とする正方形を描く
(2)下辺の中点を求める
(3)下辺の中点を中心として,正方形の左上の角を通る円を描く
(4)正方形の下辺の延長線との交点から垂線を引き,正方形の上辺の延長線との交点を求める
黄金長方形から正方形を取り除くと,残る図形は黄金長方形となる.そして,このプロセスは何度も繰り返すことができる.このような自己相似性をもつ長方形は黄金長方形だけである.
また,黄金三角形にはほかのどんな三角形にもないユニークな特徴がある.5個組み合わせることで,相似比1:√5の大きな黄金三角形を作ることができる.√5は黄金比τ=(1+√5)/2の一部であるが,大きな黄金三角形を5個組み合わせてさらに大きな黄金三角形を作ることができる.そして,このプロセスを永遠に繰り返すと,並進対称性をもたない非周期的なタイル貼りができるのである.
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【2】三角形分割
任意の三角形の3辺の中点を結ぶと,もとの三角形は合同な4つの三角形に分割される.新たに生じた三角形はもとの三角形と相似(相似比1:2)である.このように任意の三角形は自分自身と相似な4個の三角形に分けることができる.それでは・・・
(Q)5つの合同三角形に分割できる三角形は何か?
(A)辺の長さが1:2:√5の直角三角形は同形4つだけでなく,5つにも分割できる特殊な三角形である.
(Q)3つの合同三角形に分割できる三角形は何か?
(A)辺の長さが1:√3:2の直角三角形(30°,60°,90°の三角形,三角定規のひとつ)は同形4つだけでなく,3つの同形にも分割できる特殊な三角形である.
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