■六角形1種類による非周期的平面充填(その2)

 1964年,非周期的にタイル貼りできるが周期的にはタイル貼りできないタイルの組み(集合)が存在するというバーガーの発見には大きな注目が集まったが,このタイル貼りを実現するのには20000種以上のタイルを必要とした.

 その後,ロビンソンはタイルの種類を6つまで減らしたが,1974年にイギリスの数理物理学者ペンローズの発見した,凧と矢(あるいは2種類の菱形)を組み合わせて平面を非周期的に敷きつめるものが最も構成要素の少ないものと考えられていた.

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 それでは空間の非周期的タイル貼りについてはどうでしょうか?

 1993年に1種類の凸多面体の非周期的な仕方だけで空間全体を完全に埋めつくすことができる立体「二重プリズム」が英国の数学者コンウェイによって発見されました.この立体は4枚の合同な三角形と4枚の合同な平行四辺形からなっていて,2個の傾斜した三角プリズムをねじって接合したものとみなせるため「二重プリズム」と呼ばれています.

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 平面全体を一種類だけで非周期的に埋めつくすことのできる図形はまだ知られていなかった.したがって,非周期的なタイル張りに関しては3次元の場合(コンウェイの二重プリズム)のほうが2次元の場合(ペンローズ・タイル)を超えているといえたのであるが,非周期六角形タイルの発見により,それがいえなくなったというわけである.

[参]J. E. S. Socolar and J. M. Taylor, An aperiodic hexagonal tile, Journal of Combinatorial Theory

18 (2011), 2207-2231.

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