■円筒とメビウスの帯を裏返す
何年か前に行われた研究会で,前原潤先生(元琉球大)が「正多面体に手錠をはめる」という面白い話をされたことがある.正四面体を1辺の長さの90%の直径をもつ円形の穴を通すことができるなどは,やってみれば理解できるが,意外な事実ではないだろうか.
今回のコラムでは,1×Lの紙片からできたの円筒(直径L/π)とメビウスの帯を裏返すことが可能かどうかという問題について知られていることをまとめてみた.
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【1】円筒を裏返す
円筒が短くて広ければ可能,長くて細ければ不可能だが,その境界はどこにあるのだろうか?
[1]L>π+2ならば,円筒を裏返すことは可能である.
[2]L>πならば,(自己交差があってよければ)円筒を裏返すことは可能である.
[3]L<πならば,円筒を裏返すことは不可能である.
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【2】メビウスの帯を裏返す
1×Lの紙片を半回転させて(180°ひねって)両端をテープで貼り合わせるとメビウスの帯を作ることができる.メビウスの帯を中央に沿って切り開くと,2倍の長さのメビウスの帯が得られる.
L>λならば可能,L<λならば不可能となるその境界はどこにあるのだろうか?
[1]π/2(1.54)≦λ≦√3(1.73)であることがわかっている.
[2]L>π/2ならば,(自己交差があってよければ)メビウスの帯を裏返すことは可能である.
[3]L>√3ならば,メニウスの帯を裏返すことは可能であると予想されているが,その証明は易しくはない.
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