■折り紙と正多角形(その5)

 3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形は代表的かつ最小のピタゴラス三角形ですから,ピタゴラス三角形の大家族の元祖という意味で,エジプト三角形と呼ばれることがあります.ピタゴラス三角形のなかでも最も歴史的に由緒正しく最も象徴的な直角三角形なのです.

 今回のコラムでは,

[定理]折り紙のひとつの角が辺の中点に来るように折る.このときできる3つの直角三角形はいずれもエジプト三角形(3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形)である(芳賀和夫の定理).

について考えてみます.

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【1】証明

 1辺の長さが8の正方形の頂点を

  A(−4,8)

  B(−4,0)

  C(4,0)

  D(4,8)

にとる.

 点Cが辺ADの中点M(0,8)に来るように折ると,折り線の方程式はCMと直交するから,y切片をbとすると

  y=x/2+b

 この直線から点C,Mまでの距離が等しいことから

  |−2−b|=|8−b|→ b=3

  直線y=x/2+3と直線x=4との交点は(4,3)

  直線y=x/2+3と直線x=−4との交点は(−4,1)

 このときできる3つの直角三角形はいずれも相似であることから,

  3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形

  3辺の長さ比が4:16/3:20/3の直角三角形

  3辺の長さ比が1:4/3:5/3の直角三角形

となり,いずれもエジプト三角形であることが証明される.

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【2】辺の3等分点

 このとき,辺ABと折り紙の辺との交点は(−4,8/3)となり,辺ABの3等分点になっていることがわかるだろう.

 日本は折り紙最先端国であり,折り紙は日本の伝統的お家芸であるが,こんな単純ことで興味深いことが見つかるんだから,いまなお新しい定理が作り出せるに違いない.

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