■正多面体グラフと特性多項式

  [参]細矢治夫「トポロジカル・インデックス」日本評論社

  [参]一松信「高次元の正多面体」日本評論社

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【1】特性多項式とスペクトル

 グラフGが与えられたとき,特性多項式は隣接行列Aを用いて

  PG(x)=(−1)^ndet|A−xE|

で定義される.

  PG(x)=0

の解(固有値)をそのグラフのスペクトルという.

 経路グラフと単環グラフの特性多項式の零点は,それぞれ

  x=2cos(kπ/(n+1))

  x=2cos(2kπ/n)

と非常にきれいな形になる.後者はの場合,±2以外の貝はすべて2重に縮重している.

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【2】正多面体グラフと特性多項式

 正多面体は単環ではないので,特性多項式を求めるのは大変であるが,結論をいうと

[1]正四面体:PG(x)=x^4−6x^2−8x−3

   零点:3,−1,−1,−1

[2]立方体:PG(x)=x^8−12x^6+30x^4−28x^2+9

   零点:±3,±1,±1,±1

[3]正八面体:PG(x)=x^6−12x^4−16x^3

   零点:4,0,0,0,−2,−2

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【3】正多面体の基本行列の固有値

 正多面体(p1,p2,・・・,pn-1)について,

  ci=cos(π/pi)

とおいて,対角線上に0,その両隣にciを並べて,基本行列

    [0,c1 ,0,・・・・・・・,0]

    [c1 ,0,c2 ,0,・・・・,0]

  C=[0,c2 ,0,c3 ,0,・・,0]

    [・・・・・・・・・・・・・・・・]

    [0,・・・・・・・・,0,cn-1 ]

    [0,・・・・・・,0,cn-1 ,0]

を作る.基本行列は対称な三重対角行列となる.

 固有多項式を

  Pn(x)=det|xE−C|

とおくと,漸化式

  Pn+1(x)=xPn(x)−cn^2Pn-1(x),  n≧2

  P1(x)=1,P2(x)=x^2−c1^2

が成り立つ.

 基本行列の固有値,すなわち,Pn(x)=0の根を求めてみると,すべて実単根で,相隣る根の間にPn-1(x)=0の根がある.また,根は原点について対称である.

 3次元正多面体(p,q)については,

  x^3−[cos^2(π/p)+cos^2(π/q)]x=0

[1]正四面体:P3(x)=x^3−1/2x

   零点:0,±1/√2

[2]立方体:P3(x)=x^3−3/4x

   零点:0,±√3/2

[3]正八面体:P3(x)=x^3−3/4x

   零点:0,±√3/2

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 n次元正多面体については

[1]正単体:Pn(x)=Un(x)/2^n

   零点:cos(kπ/(n+1)),k=1〜n

   最大固有値:cos(π/(n+1))

[2]立方体:Pn(x)=Tn(x)/2^n-1

   零点:cos(kπ/2n),k=1,3,5,・・・,2n−1

   最大固有値:cos(π/2n)

[3]正軸体:Pn(x)=Tn(x)/2^n-1

   零点:cos(kπ/2n),k=1,3,5,・・・,2n−1

   最大固有値:cos(π/2n)

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