■ダイヤモンド結晶とK4結晶(その14)
電子はスピン1/2をもち,上向き下向きの2成分で表される.これを2彩色性に対応させることができる.したがって,格子に長さが奇数の閉路がある場合,どこかひとつの辺の両端では同じ成分にならざるを得ない.
この現象を物理学の臨界現象におけるフラストレーションという.正方格子や六角格子は2部グラフであり,2彩色的であるからフラストレーションは生じないが,三角格子には長さが奇数の閉路があり,2部グラフでないからフラストレーションが生じる.
1次元空間に敷き詰めたデルタ鎖やジグザグ鎖,2次元空間に敷き詰めた三角格子やカゴメ格子,3次元空間に敷き詰めたパイロクロア格子(正四面体を3次元的に組み上げたもの)などは物理的に詳しく調べられている格子構造である.三角格子やカゴメ格子,パイロクロア格子はいずれも2彩色的ではなく,フラストレーションが生じる.正方格子に対角線をいれたJ1−J2格子,チェッカーボード格子,シャストリー・サザーランドy格子ではフラストレーションが生じる.
ダイヤモンド格子(六員環),K4格子(十員環)はいいとしても,ロンスデーライトではどうなっているのだろうか?
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