■n次元の立方体と直角三角錐(その138)

 今回のコラムでは切頂立方体の高次元化を考えてみたい.

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[1]切頂立方体の高次元版

 3次元の場合,x≧y≧z≧0なるx=y平面上の点P(x,y,z)が与えられたとき,ずべての稜線の長さが等しくなるのは,点P(x,y,z)からy=z平面,z=0平面までの距離は等しい.と

  (y−z)/√2=z,(x−y)/√2=0

 → y=z+√2z

   x=y=z+√2z

これらは,x+y+z=1上の点であるから代入すると,

  3z+2√2z=1 → z=1/(3+2√2)

また,点P(x,y,z)のz=0平面に対する鏡映は(x,y,−z)であるから,辺の長さは2z.

 4次元の場合は,x−y平面上の点P(x,y,z,w)からy=z平面,z=w平面,w=0平面までの距離を等しくとると

  (y−z)/√2=(z−w)/√2=w,(x−y)/√2=0

 → z=w+√2w

   y=z+√2w=w+2√2w

   x=y=w+2√2w

これらは,x+y+z+w=1上の点であるから代入すると,

  4w+5√2w=1 → w=1/(4+5√2)

また,点P(x,y,z,w)のw=0平面に対する鏡映は(x,y,z,−w)であるから,辺の長さは2w.

 一般には,S=(n+1)(n−2)/2として

 → nω+S√2ω=1,ω=1/(n+S√2)

   x=(1+(n−2)√2)ω,y=(1+(n−2)√2)ω,z=(1+(n−3)√2)ω,・・・,w=ω,辺の長さは2ω.

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[2]中心から切頂面までの距離

 切頂切稜面と中心座標

  Pn(0,・・・,0)

の距離を求める.

  P0(1,0,0,・・・,0)=PnP0

  P1(1/2,1/2,0,・・・,0)=PnP1

  P2(1/3,1/3,1/3,・・・,0)=PnP2

  Pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,1/n)=PnPn-1

とおくと,切頂面はP0Pnに垂直で,点

  Q=(x,y,z,・・・)=((1+(n−2)√2)ω,(1+(n−2)√2)ω,・・・,ω)

を通る.

 ファセットを定めている不等式は,

  a・x=c

で与えられる.一般に,超平面a・x=cと点x0の距離は

  |a・x0−c|/‖a‖

とくに,原点からファセットまでの距離は|c|/‖a‖となる.

 PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るから,

  a0=P0

  q=Q

とすると,この超平面をa・(x−q)=0,a・x=a・q=cで表すと

  c0=x,h0=|c0|/‖a0‖=x

 これは

[a]頂点面までの距離

 切頂されていなければ頂点は(1,0,・・・,0)であるが,切頂されているので,中心は(x,0,・・・,0).

[b]胞心面までの距離

 胞心は(1/n,1/n,・・・,1/n)→1/√n

と一致する.

 n=3のとき,

  (1/√n)/x=(1+√2)/√3

となって,切頂立方体の計量と一致する.

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[3]まとめ

 ここまでくれば,立方八面体の高次元化では

  (x−y)/√2=0,z=0

すなわち,x=yかつz=0,

 立方体の高次元化では

  (x−y)/√2=(y−z)/√2=0

すなわち,x=y=zとおけばよいことがわかるだろう.

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