■n次元の立方体と直角三角錐(その136)
石井源久先生がコンピュータを用いた総当たり的な手法で,高次元準正多面体の面数を計算したことで,このシリーズは新たな局面を迎えた.
それに対応する手計算的な手法を整理しておかなければならないが,そのためには,コラム「平行体の体積とグラミアン」で求めた
(その17)→大菱形立方八面体の高次元版
(その20)→小菱形立方八面体の高次元版
(その21)→切頂立方体の高次元版
を一般化すればよい.
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[1]鏡映対称変換
3次元の場合,x≧y≧z>0なる点P(x,y,z)が与えられたとき,ずべての稜線の長さが等しくなるのは,点P(x,y,z)からx=y平面,y=z平面,z=0平面までの距離を等しくとると
(x−y)/√2=(y−z)/√2=z
→ y=z+√2z
x=y+√2z=z+2√2z
これらは,x+y+z=1上の点であるから代入すると,
3z+3√2z=1 → z=1/(3+3√2)
また,点P(x,y,z)のz=0平面に対する鏡映は(x,y,−z)であるから,辺の長さは2z.
4次元の場合は,点P(x,y,z,w)からx=y平面,y=z平面,z=w平面,w=0平面までの距離を等しくとると
(x−y)/√2=(y−z)/√2=(z−w)/√2=w
→ z=w+√2w
y=z+√2w=w+2√2w
x=y+√2w=w+3√2w
これらは,x+y+z+w=1上の点であるから代入すると,
4w+6√2w=1 → w=1/(4+6√2)
また,点P(x,y,z,w)のw=0平面に対する鏡映は(x,y,z,−w)であるから,辺の長さは2w
一般には,S=n(n−1)/2として
→ nω+S√2ω=1,ω=1/(n+S√2)
x=(1+(n−1)√2)ω,y=(1+(n−2)√2)ω,z=(1+(n−3)√2)ω,・・・,w=ω,辺の長さは2ω.
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[2]中心から各面までの距離
切頂切稜面と中心座標
Pn(0,・・・,0)
の距離を求める.
P0(1,0,0,・・・,0)=PnP0
P1(1/2,1/2,0,・・・,0)=PnP1
P2(1/3,1/3,1/3,・・・,0)=PnP2
Pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,1/n)=PnPn-1
とおくと,切頂切稜面はPkPnに垂直で,点
Q=(x,y,z,・・・)=((1+(n−1)√2)ω,(1+(n−2)√2)ω,・・・,ω)
を通る.
ファセットを定めている不等式は,
a・x=c
で与えられる.一般に,超平面a・x=cと点x0の距離は
|a・x0−c|/‖a‖
とくに,原点からファセットまでの距離は|c|/‖a‖となる.
PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るから,
a0=P0
q=Q
とすると,この超平面をa・(x−q)=0,a・x=a・q=cで表すと
c0=x,h0=|c0|/‖a0‖=x
PnP1に垂直なn次元超平面では
a1=P1
c1=(x+y)/2,h1=|c1|/‖a1‖=(x+y)/√2
PnPn-1に垂直なn次元超平面では
an-1=Pn-1
cn-1=(x+y+z+・・・)/n,hn-1=|cn-1|/‖an-1‖=(x+y+z+・・・)/√n
これらは
[a]頂点面までの距離
切頂されていなければ頂点は(1,0,・・・,0)であるが,切頂されているので,中心は(x,0,・・・,0).
[b]辺心面までの距離
切稜されていなければ辺心は(1/2,1/2,0,・・・,0)であるが,切稜されているので,中心は
((x+y)/2,(x+y)/2,0,・・・,0).
[c]胞心面までの距離
胞心は(1/n,1/n,・・・,1/n)→1/√n
と一致する.
一般に,
‖ak‖^2=Σ(1/(k+1))^2=1/(k+1)
hk=Σ(1+(n−i)√2)ω/√(k+1)=√(k+1)ω(1+(2n−k−2)/√2)
Hk=hk/2ω=√(k+1)(1+(2n−k−2)/√2)/2
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