■平行体の体積とグラミアン(その85)
(その75)において,準正多胞体の体積とその外接正多胞体の体積比をまとめた.
[1]2^n+2n胞体の体積=1/2・(4/n)^n
外接正軸体の体積=2^n/n!
したがって,体積比はn!/2・(2/n)^n
また,外接立方体の体積=(4/n)^n
であるから,この場合の体積比は1/2である.
[2]n=7までの限られた検討であるが,2(2^n−1)胞体の体積はc(n+1)^1/2
外接正単体の体積=(n+1)^1/2/2^n/2n!
したがって,体積比はc2^n/2n!
[3](3^n−1)胞体の体積はa+b√2
外接正軸体の体積=2^n/n!
したがって,体積比はc+d√2
準正多胞体の体積とその外接正多胞体の体積比はどうなるのだろうか?
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[1]2(2^n−1)胞体の場合
切頂切稜面と中心座標
Pn(a1,・・・,an)
aj=√(1/2j(j+1))
の距離を求める.切頂切稜面はPkPnに垂直で,点
Q=(x1,・・・,xn)=(a1y1,・・・,anyn)
を通るから,外接球の半径は
R^2=a1^2(1−y1)^2+・・・+an^2(1−yn)^2
また,1辺の長さは2(a1−x1)=2a1(1−y1)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[2]2^n+2n胞体の場合
x=2/nとおく.
(x,x/2,0)
(x,x,0,0)
(x,x,x/2,0,0)
(x,x,x,0,0,0)
[1]奇数次元
R^2=(n−1)/2・x^2+(x/2)^2=(2n−1)/n^2
[2]偶数次元
R^2=n/2・x^2=n/2
格子空間で(x,x,x/2,0,0)の置換を考えると1辺の長さはx/2・√2,(x,x,x,0,0,0)では1辺の長さはx・√2になる.
ついでにいうと,空間充填2^n+2n面体の体積は,x=2/nとして
1/2(2x)^n=1/2(4/n)^n
で与えられる.これはファセット間距離が4/nの場合の体積である.1辺の長さを1に規格化した場合の体積は
[1]奇数次元
1/2(2x)^n/(x/√2)^2=1/2・2^3n/2
[2]偶数次元
1/2(2x)^n/(x√2)^2=1/2・2^n/2
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[3]3^n−1胞体の場合
切頂切稜面と中心座標
pn(0,0,・・・,0)
の距離を求める.
3次元の場合,x≧y≧z≧0なる点P(x,y,z)が与えられたとき,ずべての稜線の長さが等しくなるのは,点P(x,y,z)からx=y平面,y=z平面,z=0平面までの距離を等しくとると
(x−y)/√2=(y−z)/√2=z
→ y=z+√2z
x=y+√2z=z+2√2z
これらは,x+y+z=1上の点であるから代入すると,
3z+3√2z=1 → z=1/(3+3√2)
また,点P(x,y,z)のz=0平面に対する鏡映は(x,y,−z)であるから,辺の長さは2z.
4次元の場合は,点P(x,y,z,w)からx=y平面,y=z平面,z=w平面,w=0平面までの距離を等しくとると
(x−y)/√2=(y−z)/√2=(z−w)/√2=w
→ z=w+√2w
y=z+√2w=w+2√2w
x=y+√2w=w+3√2w
これらは,x+y+z=1上の点であるから代入すると,
4w+6√2w=1 → w=1/(4+6√2)
また,点P(x,y,z,w)のw=0平面に対する鏡映は(x,y,z,−w)であるから,辺の長さは2w
一般には,S=n(n−1)/2として
→ nω+S√2ω=1,ω=1/(n+S√2)
x=(1+(n−1)√2)ω,y=(1+(n−2)√2)ω,z=(1+(n−3)√2)ω,・・・,ω=ω
となることが理解される.
外接球の半径は
R^2=x^2+・・・+ω^2
また,1辺の長さは2ω.
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[4]まとめ
準正多胞体の体積とその外接正多胞体の体積比はスターリング近似に用いることができるかもしれないが,2^n+2n胞体の場合を除いて,簡単な形にはならない.
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