■詐欺ジョンソン・ザルガラー多面体?(その11)
ザルガラーの論文を検討して,どこの議論に飛躍があるかがわかった.問題は,この論文のすべての部分を吟味する必要がでてくることである.これは憂鬱な問題である.ジョンソン立体がたくさん増えるのか,この立体だけが例外的だったのか?
===================================
ザルガラーの基本的な方法は,
a. 大雑把な場合分けを行なう
b. 2面角(面と面の間の角)など,固定できるところは固定する
という作業をやって,場合を絞りこんで,最後の最後は,
c. 組合せ論的に,あるいはグラフ論的に,可能な場合を全部列挙して,実際に構成可能かどうかを計算でチェックする
という方法をとっています.
よく見ると,
- グラフ論的な場合分けと列挙
- 組合せ論的な対称性を考慮したムダの排除
- 角度などの物理的な量による絞りこみ
を上手に組合せながら,場合の数を減らして,そして最後の最後はチカラワザということをたくさん積み重ねて,92通りにたどり着いたようです.
中川さんが見つけたものは,その場合分けの一部のケアレスミス(考え落とし)を巧みについているんだと思います.他のところも丁寧に見ていけば,まだあるかもしれませんが,「今回の発見を機にぞろぞろ出てくる」というわけでもなさそうです.
上原隆平先生(現MIT)の意見であるが,私も同感である.
===================================