■折り紙と正多角形(その4)

 日本は折り紙最先端国であり,折り紙は日本の伝統的お家芸であるが,日本人の名前を冠した折り紙定理がある.

[定理1]折り紙のひとつの角が辺の中点に来るように折る.このときできる3つの直角三角形はいずれもエジプト三角形(3辺の長さ比が3:4:5の直角三角形)である(芳賀和夫の定理).

 これで思い出したのが,コラム「数楽と音学における3:4:5定理」で証明した「平行四辺形における3:4:5定理」である.両者の間には何らかの関連性があるに違いない.

===================================

【1】平行四辺形における3:4:5定理

 平行四辺形の頂点A,B,C,Dをそれぞれ辺BC,CD,DA,ABの中点と結んで,中央に小さい平行四辺形を作る.この小さい平行四辺形の面積は,もとの平行四辺形の面積の1/5に等しい.次に,平行四辺形の頂点A,B,C,Dをそれぞれ辺CD,DA,AB,BCの中点と結んでも中央に小さい平行四辺形が得られる.この小さい平行四辺形が重なった部分は点対称な8角形で,その面積はもとの平行四辺形の面積の1/6に等しい.

 このとき,重なっている小さい平行四辺形は互いの辺を3等分するのではなく,辺を分割する比は4:5:3になっている.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 平行四辺形の頂点と2等分点を使ったダイヤグラムでは,平行四辺形の重なりにおいて,4:5:3の比があらわれた.では,3等分点を使ったダイヤグラムではどうだろうか?

 求めるのは,EO:ON:NBであるが,4:5:3になっていることが証明される.平行四辺形の辺を3等分すると「3:4:5定理」が得られるのであるが,こんなところにも直角三角形に関係する3:4:5があるのかと驚かされた.

===================================

 辺分割の仕方によってはたとえば「7:5:3定理」であったり「α:β:γ定理」であったり,折り紙の場合でいえば

[定理2]折り紙のひとつの角が辺の任意の点に来るように折って元に戻す.もうひとつの角を同じ点に合わせて折り元に戻す.このときできる交点は正方形の中心線上に来る.また,交点から任意の点までの距離と交点から対辺の2つの角までの3つの距離は常に等しくなる.

に相当する,自分なりの定理が見つかるのではないかと思う.

===================================