■平行体の体積とグラミアン(その82)
(その75)において,準正多胞体の体積とその外接正多胞体の体積比をまとめた.
[1]2^n+2n胞体の体積=1/2・(4/n)^n
外接正軸体の体積=2^n/n!
したがって,体積比はn!/2・(2/n)^n
また,外接立方体の体積=(4/n)^n
であるから,この場合の体積比は1/2である.
[2]n=7までの限られた検討であるが,2(2^n−1)胞体の体積はc(n+1)^1/2
外接正単体の体積=(n+1)^1/2/2^n/2n!
したがって,体積比はc2^n/2n!
いずれにせよ[1]の元素が整数倍で立方体になり,その元素の有理数倍で正単体の体積と等しくなることがわかる.すなわち,
mVs=nVc
となって,デーンの定理と似た形になるが,このことによって(その74)での考察に変化はあるのだろうか?
===================================
V=V1a^n,Λ=Λ1b^n,
V/Λ=V1/Λ1(a/b)^n
において,V1は偶数次元で整数,奇数次元で√2,Λ1は√(n+1),√{(n+1)/2}で有理的に表される.
したがって,体積に含まれる定数√(n+1),√{(n+1)/2}が鍵を握るようである.
[1]偶数次元で√(n+1)が整数kとなるのはn=k^2−1のとき
[2]奇数次元で√{(n+1)/2}がk√2となるのはn=4k^2−1のときである.
これは特定のnについては可能(例えばn=3なら(n+1)^1/2=2で実際可能)であるが,それ以外のとき,V/Λが有理的に表されるかどうかは不明である(例えばn=8について.しかし,この計算は時間がかかるのでアボートさせた).
===================================
[まとめ]mVs=nVcにおいて,Vsは有理数(無理数)のとき,Vcが無理数(有理数)になれば矛盾を生じるので都合がいいが,体積を使った議論では限界がありそうである.
===================================