■数論と幾何学の相互転化(その2)
砂田利一「基本群とラプラシアン」紀伊国屋書店
によると,素数の理論と測地線の理論の間には不思議な類似が存在するという.
スペクトル問題は数論と類似する構造をもっていて,ゼータ関数あるいはL関数の幾何学的類似物をラプラシアンの固有値や閉測地線の長さの分布から構成することができるという.以下に,対応表を掲げておきたい.
数論 幾何学
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代数体 コンパクトなリーマン多様体
素イデアル 素な閉測地線
素数定理 素な閉測地線の長さ分布の密度定理
リーマン予想 ラプラシアンの小さい固有値の非存在
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オイラーは何年も,オイラー級数(1735年)
π^2/6=1+1/2^2+1/3^2+1/4^2+1/5^2+・・・
にとちつかれて,そこに円周率πが現れることに大いに驚き,感動したのであった.
グレゴリー・ライプニッツ級数(1673年)
π/4=1−1/2+1/5−1/7+1/9−1/11+・・・
の左辺にも半径1の円の円周の長さπがおかれている.
加藤和也「素数の歌が聞こえる」ぷねうま舎
によると,この式の右辺は
(1+1/3)^-1(1−1/5)^-1(1+1/7)^-1(1+1/11)^-1(1−1/13)^-1・・・
と書き直すことができる.
すなわち,4で割って3余る素数のところに
(1+1/p)^-1
4で割って1余る素数のところに
(1−1/p)^-1
とおくと,
4=2π・1/2・(1+1/3)(1−1/5)(1+1/7)(1+1/11)(1−1/13)・・・
すると,分子のπは(実数世界での円の長さ)・(2進整数の世界での円の長さ)・(3進整数の世界での円の長さ)・(5進整数の世界での円の長さ)・・・となって,πを素数達が協力しあって生み出している様子を表している,一方,分母の4は円x^2+y^2=1上に整数点が4個あることを表しているという.
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