■5角24面体の木工製作

 「ねじれ立方体」「ねじれ12面体」の存在は他の準正多面体よりも初等的でない.その座標は3次方程式の解になり,定規とコンパスで作図可能ではない,すなわち,それは正多面体にどんな簡単な操作を施しても構成できないし,左手系と右手系があるという意味でも他のアルキメデス立体とは異なっているからである.

 中川宏さんが製作された木工多面体30セットのなかの「ねじれ12面体」の写真を掲げる.この型の準正多面体にはねじれる方向によって右手系と左手系がある.平行な対面をもたない面があり,大変作りにくい立体であることがおわかりいただけるであろう.

 「ねじれ立方体」「ねじれ12面体」の双対多面体が「5角24面体」「5角60面体」である.したがって,「ねじれ立方体」の木工製作が難関だとすれば「5角24面体」の木工製作は超難関ということになる.

 私はこれまで金原博昭さん製作の5角24面体紙製模型をみたことがあったが,その木製模型は中川宏さんも避けて通った難物である.三重県在住のいわまん。さんが5角24面体の木工製作を手がけられたので紹介したい.本邦初,世界でも初出かもしれない.

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【雑感】

 NPO科学協力学際センターでは,全国の中学校に木工多面体を寄贈する活動を続けているが,作り手が中川宏さんおひとりで負担が大きいことから,木工多面体を作ってくれるメンバーを養成しようとしたことがある.しかし,怪我の保障をどうするかなどの問題で断念.以来,中川宏さんの男気に甘えながら活動を継続してきた.

 いわまん。さんも中川さん同様,ほとんど独力で名人芸を身につけられたようてある.いわまん。さんのような方な協力して下さるとNPOとしても助かるし,ぜひご協力賜りますようお願いしたいと思う.

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