■平行体の体積とグラミアン(その66)
2(2^n−1)胞体の元素の頂点数(および胞数)はわかったとしても,中間の次元の辺や面の個数の一般式については気になるところである.
超立方体の半切体の胞数を数えるだけならば,座標にこだわらず,超立方体を切った切り口がどうなるかを調べた方が早道である.組み合わせ的方法によって求めてみよう.
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【1】n次元の場合の面数
n次元立方体を切半することを考える.まず切断面上の図形を考える.この切断面はn−1次元直方体である.また赤道は2つのn−2次元超立方体それ自身と2つのn−1次元胞を通る.
もとの切半体そのものは切断面と交わらない部分,切断面で切られた部分,切断面上の部分からなる.切断面と交わるj次元胞の数はN(n,j)−N(n−2,j)×2,交わらない胞のうち片側に含まれる分{N(n,j)−N(n−2,j)×2}/2,切断面上N(n−1,j)であるから,
f(n,k)=(N(n,k)−2N(n-2,k))/2+N(n-1,k)
=N(n,k)/2+N(n-1,k)−N(n-2,k))
=2^(n-k-1)nCk+2^(n-k-1)n-1Ck−2^(n-k-2)n-2Ck
ただし,k=n−1のとき,f(n,k)=n+2,n=2,k=n−1=1のとき,f(n,k)=3とする.
fjをn次元多面体のj次元面の数とし,
(f0,f1,・・・,fn-2,fn-1)
を各次元における面数とおくと,n次元立方体の半切体は
2次元:(f0,f1)=(3,3)
3次元:(f0,f1,f2)=(6,9,5)
4次元:(f0,f1,f2,f3)=(12,24,17,6)
5次元:(f0,f1,f2,f3,f4)=(24,60,58,27,7)
6次元:(f0,f1,f2,f3,f4,f5)=(48,144,176,112,39,8)
7次元:(f0,f1,f2,f3,f4,f5,f6)=(96,336,496,400,190,53,9)
となる.
阪本ひろむ氏にこの計算を確かめてもらったが,オイラー・ポアンカレの公式を満たさない(奇数次元では2となるものの,偶数次元では0でなく−1).
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【2】オイラー・ポアンカレの公式
それぞれk=n,n−1,n−2まで加えると
Σ(−1)^kN(n,k)=1
Σ(−1)^kN(n-1,k)=1
Σ(−1)^kN(n-2,k)=1
それぞれk=n−2まで加えると
[1]nが奇数のとき
Σ(−1)^kN(n,k)=1−N(n,n-1)+N(n,n)=2−2n
Σ(−1)^kN(n-1,k)=1−N(n-1,n-1)=0
Σ(−1)^kN(n-2,k)=1
Σ(−1)^kf(n,k)=−n
[2]nが偶数のとき
Σ(−1)^kN(n,k)=1+N(n,n-1)−N(n,n)=2n
Σ(−1)^kN(n-1,k)=1+N(n-1,n-1)=2
Σ(−1)^kN(n-2,k)=1
Σ(−1)^kf(n,k)=n+1
f(n,n-1)=n+2,f(n,n)=1より,
[1]nが奇数のとき
Σ(−1)^kf(n,k)=−n+(n+2)−1=1 (満たす)
[2]nが偶数のとき
Σ(−1)^kf(n,k)=n+1−(n+2)+1=0 (満たさない)
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【3】雑感
nが偶数のときに補正を加えることにする.すなわち,k=n−1のとき
[1]nが奇数のとき,f(n,k)=n+2
[2]nが偶数のとき,f(n,k)=n+1
とすれば辻褄はあうが,本当に単体(胞数n+1)になるのだろうか? n+1胞体は単体であり,超直方体面はもたないのでNG.
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